PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 構造
- 鉄骨造
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 382.72㎡
- 竣工
- 2019-07
CREDIT
- 設計
- KADA、Dugout archtects
- 施工
- カシワバラ・コーポレーション
- 構造設計
- ロウファットストラクチュア
- 撮影
- 中村絵
- 設備
- shiba.建築設計事務所
- サイン
- 高橋耕平
かつて、日本の首都東京は水の都と呼ばれ、水運を担う水路や河川が張り巡らされていた。敷地は隅田川と神田川の合流地点に位置し、現在もたくさんの屋形船が川岸に係留されており、江戸情緒漂う風景を垣間見ることができる。またかつては花街として栄えた歴史をもつ土地である。 隅田川は東京都の東側を縦断する一級河川で、「橋の博物館」と称されるほど新旧様々な工法の橋梁が架けられている。その種類は斜張橋(中央大橋など)、桁橋(両国橋など)、アーチ橋(白鬚橋など)、吊り橋(清洲橋)、跳開橋(勝鬨橋)など多岐に渡り、主要な橋梁形式をほぼすべて鑑賞できる。そうした橋梁の鉄骨構造体やそれを支える橋脚、あるいはコンクリートの護岸面には、日光の反射によってゆらゆらと揺らめく水面が転写されている。流れる水は澄み切ったものではなく、派手な原色に塗り込まれた橋はお世辞にも綺麗とは言い難いが、その付近では過去と現在の狭間のような、ふと足を止めて見入ってしまう独特な雰囲気が生み出されている。 このような風景の構造を建築に取り入れることで、現在の東京らしい川辺の環境に呼応する佇まいをもった建築をつくることを考えた。 この建物はシェアハウスで、1階はエントランスホール、2階はリビング、ダイニングキッチン、3~5階は計18戸の個室で構成されている。南北を道路に挟まれた細長い敷地形状であり、建物の中央部に階段と水周りを設け両端に居室を配置することで、全ての居室が道路に面し、過密都市東京でも良好な住環境となるように配慮して計画している。 主要な外壁はコンクリートブロックを積み上げ、ポリカーボネート透明波板で覆った。波板の凹凸は光の透過と反射の反復を生み出し、覆われた内側の躯体鉄骨やコンクリートブロック積みが見る角度によってスクリーンを透過して現れ、空の反射は集光模様をつくりだす。その反復がファサードに川の水面のような表情をもたらしている。 また各居室の窓まわりを縁取った木製枠は、隅田川をゆっくりと進む屋形船の灯りが夜の川に浮かび上がる風景と重なり、かつて花街として栄えた艶のある街を彷彿とさせる佇まいとなっている。