結崎駅舎・駅前公園

ビルディングタイプ

DATA

  • ビルディングタイプ
  • 構造
    鉄骨造
  • 工事種別
    新築
  • 延べ床面積
    26.36㎡
  • 竣工
    2022-05

CREDIT

  • 設計
    イチバンセン一級建築士事務所
  • 担当者
    川西康之、笹井夕莉、興津みなみ(イチバンセン一級建築士事務所)、横畑勇記、政木千佳、田代かりん、林田啓太、三苫紘子(全日本コンサルタント)、柳辰太郎(柳建築設計事務所)、安藤耕作、藤田啓(ANDO Imagineering Group)
  • 施工
    大日本土木、中和コンストラクション
  • 構造設計
    ANDO Imagineering Group
  • 撮影
    佐藤亮介(イチバンセン一級建築士事務所)
  • 共同設計者・設備
    全日本コンサルタント
  • 設計協力者
    柳建築設計事務所
  • Design Message
    小谷松雄次

奈良盆地の真ん中に位置する川西町は、1923年(大正12年)に橿原神宮へ参拝客を輸送する鉄道(大阪電気軌道、現在の近畿日本鉄道)が開通して発展を続けてきた。                       結崎駅周辺もかつては中小の商業施設が集積していたが、今現在では進道路整備が進んで町外の大型商業施設への購買が流出し、結崎駅前の商業空洞化も顕著になっている。それでも、人口約8,000人の川西町に対して、結崎駅の乗車人員は約2,000人/日であり、車社会が進みながらも、川西町民にとって結崎駅は生活に欠かせない大切な存在である。そこで駅前を盛り上げ、川西町が住みたい町、住み続けたい町となることを目指して、下記の3点に留意して、結崎駅前の機能再生が図られることになった。         ①子ども・お年寄り・体が不自由な方でも徒歩・ベビーカー・車椅子での移動が安心な町であること ②結崎駅周辺を中心に、徒歩圏内に買い物・病院・学校・仕事など基本的な機能が全て揃うこと ③町民・駅利用者同士が見える・見られる関係を創り出し、魅力的な公共空間で駅前のエリア価値を向上させること 2016年(平成28年)から住民巻き込み型ワークショップ「結崎駅フューチャーセッション」実施し、小学生から幼稚園の保護者、お年寄りまで様々な世代・立場の川西町民にあまねく参加して頂き、直接ヒアリングによるニーズ汲み取りを実施しながら、駅利用者・町民と行政(駅前再開発を推進する立場)との相互理解が進んだ。駅前広場・公園・駅舎の基本計画は、ここでの成果が基礎になっている。上述の結崎駅フューチャーセッションにより、橋上駅舎ではなく引き続き構内踏切による平面交差と東側にも新駅舎・改札を追加する計画とされ、東西それぞれに改札口が整備される。(東口は未着工) 西口は駅前広場・公園・ロータリーと接続道路の再整備により、下記の方針により北側に移転改築された。 ①懐かしくも新しいモダンな駅舎にすること ②利用者・町民を暖かくお迎えする設えであること ③可能な限り天然素材を活用し、古墳時代からの歴史を重んじる空間であること 駅前に本物の古墳がある世界的にも珍しい駅で、駅改札口を出たら古墳と公園が目の前に広がる。駅改札口と交通機能を直結させる機能優先ではなく、結崎駅では世界に二つとない風景と記憶を優先させ、歩行者しか通行できない安全安心の公園を駅改札口に直結させている。 大和棟という奈良盆地では馴染み深い建築様式を手本に、鉄骨造の軽やかな屋根を構成してモダンに仕上げた。川西町の風景は、大和棟が連なる旧農村の集落と、昭和時代に急速に開発された集落とが混在している。残念ながら昭和時代の建築は長きに渡って調和の取れた町並みを構成しているとは言えず、スクラップ・アンド・ビルドが進む。古墳時代からの歴史がある川西町では、少なくとも江戸時代からの大和棟を手掛かりに、駅前で町民の記憶と歴史を紡いでゆくことが大事だと考えている。

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物件所在地

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