はこ

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AICA施工例コンテスト2022 最優秀賞 所在地:広島県 設計:kufu 本計画地は小高い山の中腹にある。 眼下には街並みが広がり、周囲は山の緑に囲まれた豊かな環境である。 この眺望や木漏れ日を家の中に最大限引き込みたいと考えたが、その立地ゆえの課題についても整理する必要があった。まず、幅員2.0mほどの私道でしかアプローチできないため、人力で運べる部材や寸法選定を行った。 更に、敷地内に高さ4mの段差があり、動線などの繋がりが分断されていたため、土地を繋ぐために、建物自体を駆け上がるという手法を選択した。ここで擁壁や山というスケールに対して、階段のように小さな要素を用いるのではなく"はこ"と呼べる土木と建築の中間のようなスケールで対峙させることにした。その箱型をずらしながら積上げ、母屋と離れの2棟を計画した。このずれた隙間から街・山・空とが呼応し、天井や床の高さにも変化が生じ、立体的に視線が抜けることでさまざまなシーンが生まれた。 外壁内壁共に色むらのあるジョリパットの水墨を採用することで、内外が繋がり、周りの木々の影や日差しをナチュラルに落とし込むことができた。 厳しい条件や崖が持つネガティブなイメージもある中で、住まいの安全性を念頭に敷地の課題を1つずつ解決するとともに、“崖地の魅力”を最大限に引き出すことで、土地の価値は高められると考えた。 外部を取り込むシームレスで開かれた本建築から、敷地の持つ可能性を広げていきたい。