
1500坪という広大な森の中にある「地産地消」のレストランである.本プロジェクトでは,この場所に来て行う活動を「地消」と捉え,その由来「地産」を想起させる器としての建築を考えた. 「地産」を想起させる建築として,森の中の窪んだ低いレベルに埋め込むようにプレートを挿入した.こうすることで来訪者のアイレベルを下げて,植物が萌芽する場であり,木々の根という生命の誕生の場である大地に自然と視線がいくようにしている.訪れるたびに自然の変化を感じさせ,来訪者に「地産」を想起させる. また「地消」の場として,森と建築のコントラストを上げて建築が持つ強さをだし,人々が集まり賑わいを持つ広場のような空間をつくることを考えた.そこで森という有機的で複雑化したものの中において,建築としてのプレートは人工的で単純化したものとした.それは正方形という強い形式を持った平面で,フラットな床で,化粧をせず装飾性のない単一の床仕上げ(基礎コンクリートをそのまま床仕上げ)で, 目地も見切りもない,方向性もスケールも消失させた分節のない床で表現している. おおらかな空間を持つ「地産地消」の建築は,結婚式場となったり,地域の人々が展示やコンサートなどイベントの出来るギャラリーホールになったり,それらの活動が混じり合って使われたり,計画時の意図を超えて多目的に活用されていて,今では新しい「地消」を育んでいる. 積雪がある地域であり,市街地では「雁木造」と呼ばれる雪除けの屋根が商店街に続いている.雁木が多数の商店を繋げるように,本計画でも直売所やギャラリーなど各プログラムを接続する役割として雁木を採用した.今後の増築,拡張の新しいプログラムや形態を許容し,雁木で繋げることで,混沌の中にも秩序を持った有機的な建築が継承される.そしてこの建築は,自然と共に成長を続けていく.