
PROJECT MEMBER
京都市内で現代アートギャラリー兼ヘアサロンを営むオーナーが、新たに寺町二条で展開するギャラリー兼スパの内装計画。喫茶店やギャラリーがまばらに点在し、住宅も多く並ぶ閑静なエリアにおいて、いかに地域とのつながりを意識しつつオープンな空間をつくるかが課題のひとつとなった。 そこで、1Fのギャラリーはあえてホワイトキューブのようなニュートラルな空間にするのではなく、既存京町家のコンテクストを生かした空間を目指した。 まず、1Fは天井と床のみをパイプスペースとして利用し、新旧のコントラストをつくることで、この物件の持つ時間の多重性を象徴的に表面化している。そこにすべてのインフラ設備を入れ込んだ。あえてむきだしにはせず徹底的に隠すことで、ランダムな仕上げが目立つ既存空間に適度なバランスを与えている。そして中央にカウンターを設け、空間の奥と手前をゆるやかに隔て、展示構成のパターンに変化を与えている。 素材選定については、既存部分と共存しつつも経年変化を楽しめるように、木材や黒皮、銅、真鍮などの自然素材を積極的に取り入れた。 また、ウェルビーイングな空間を目指す施主の思想を表現するための操作として、一部の壁に、解体時に出た土壁を再利用している。 照明計画では、1Fは展示にフレキシブルに対応できるスポットライトを利用し、2Fは天井高がスパ利用としては高すぎたため、照度を均質に与えるベースライトではなく、家具照明のみで構成し、かつ什器を低い高さで計画することで、空間認識の重心を下げるように計画している。スパを営業する2Fの中央部分には吹き抜けを設け、開放感を演出しつつ、1Fと2Fの連続性を保つよう意識した。