
PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- リノベーション
- 延べ床面積
- 90㎡
- 竣工
- 2022-05
CREDIT
- 設計
- HAMS ans, Studio
- 担当者
- 伯耆原洋太 / 伯耆原智世
- 施工
- Roovice
- 撮影
- 中村晃
- 金物造作
- 小塚製作所 / Ferrum+
- 植栽計画
- グリーニアン
建築家の自邸リノベーションプロジェクトです。 高密度な住宅地のマンションの2階レベルにある90㎡のワンフロアにおいて、住居となり、オフィスとなり、スタジオとなり、ショールームとなる、建築家の多様な活動を受け入れる拠点として計画しました。 既存を丁寧に読み込み、「8つの開口をもつ明るい空間」と「築30年のコンクリートが持つ物性」を最大限に尊重しリノベーションの計画を進めました。8つの開口を生かすために、気積と視線の抜けを最大化するプランをスタディし、引戸によって間仕切ることもできるワンルームを採用しました。また、既存躯体RCの存在を最大化するために、鉄のフラットバーによる造作金物を挿入し、素材と部材メンバーにおいて対比関係を作り出しました。 一つの空間に配置されたキッチン、ダイニング、リビング、アトリエを横断する、既存躯体から吊られた造作金物として「Linkaged Ring」をプラン中央に計画しました。二重のフラットバーによって構成し、上下に照明器具を配置しています。スタジオ利用の際は照明バトンとして活用できます。不規則で力強い既存躯体フレームと、鋭い直線のFL+2050を通過する鉄のフレームを対比させ、組み込んだ照明によって両者を浮かび上がらせるデザインとしています。 また、高密度な東京の住宅地に暮らす上で、近隣との距離の取り方は非常に重要なテーマです。ワンルームを取り囲む背景として、「Green Back」を計画しました。既存の出窓を利用し、植栽による緑のオブラートを纏わせ、インナーサッシによって区画し、その内側から内壁を被せることでサッシ見付を隠し、角丸の開口として設えました。 4重のレイヤーによって近隣との直接的な視線の交わりを回避しつつ、直射光を制御し、断熱性能を向上させています。中央のLinkeged Ringから派生し、Green Backによって濾過された近隣外壁までが一つの囲われとして連続的に体感できる、ペリメーターの在り方を考えました。 マルチユーズな空間を作る上で、「住宅らしさ」を徹底的に排除することをインテリアでは試行しました。既存を読み込み最大化したワンルームは、仕事とプライベートをオーバーラップした多様な活動の器となり、今後、家族のライフステージの変化と共に姿を変えていきます。ライフスタイルが高速で多様化する現代の中で、建築家自らが、自邸と共に、その実践の最前線に在りたいと考えています。