
「柿から生まれた『柿渋』を利用した外壁。時間と共に変化する地域性を取り込んだ空間。」 愛媛県西条市に位置する、アイウエアブランド JINS のロードサイド店舗の計画である。本計画では、多店舗展開するロードサイド店舗としていかに地域性を持ち、土着的なアプローチでデザインできるかを考えた。 外壁には西条市の名産である柿から作られる「柿渋」を利用した。柿渋は古くから防腐・防水塗料として建築材料として使われている。日光が当たると、徐々に色が濃く変化していき、耐久性が向上していく。 時間の経過に合わせて建物の表情が少しずつ変化していき、長い時間を掛けて地域と共に歩んでいける、そんな建築を目指した。 外観は、窓面が彫り込まれたような形状とし、吸い込まれるように店内へ人々を誘導する。山型に折り上った特徴な天井は、外壁の形態と呼応しつつ、開放的な店舗空間を作っている。屋外の風景を取り込み、連続性を持たせることで、ロードサイド店独自の屋内外の空間を感じられる空間体験(購買体験)を提供している。 什器には一般的にも馴染みがあるラーチ合板をメインの素材として使用した。ラフな質感を持つ素材と対比して、丁寧にデザインされたメガネがより際立つようにデザインした。 素材感によって商品が手に取りやすい、カジュアルさを与え、一方で端部や角の処理、金物との組み合わせなどのディテールのデザインによって、同ブランドのもつ洗練されたデザイン性を同時に表現している。