
PROJECT MEMBER
ホテルパーレンス小野屋は九州一の大河・筑後川に開けた原鶴温泉郷に位置し、およそ140 年の歴史を持つ日本庭園が見事な老舗旅館である。 この度はロビーラウンジと内湯の改修計画にあたり、“福岡の奥座敷”をコンセプトに据え、かつてはこの地が旅人たちの疲れを癒す湯治場として、賑わいを見せた時代背景からインスパイアされた、新たな出会いや発見と快適さを兼ね備えた環境作りを目指した。 ロビーラウンジにおいては、地域性を取り入れたアート棚を空間を囲う様に配列し、中央にはラウンジシーティングやコワーキングエリア、物販エリア、その背景にはトラディショナルな日本庭園が窓一面に広がる。デザインにおいては、奥座敷をイメージした畳パターンのカーペットを始め、格天井や木格子のキャビネットなどの日本的な建築技法と、モダンツイストされたアイコニックなソファセットや照明器具を意図的にミックスさせた。 過去と現代の美が重なり合う空間にて、ゲストはこれまで体験した事のない居心地の良さと、何処か懐かしさを体現する事が出来る。 庭園内にひっそりと佇む内湯においては、上部には高天井を活かした黒木の櫓組みを行い、それらに対比する様にアイレベルには、モダンなマテリアル選定と照明計画を行う事で、ノスタルジックなイメージ作りと幻想的な演出を共存させた。