



ファッションとビューティーを繋げるヘアサロンとアパレルショップの複合店。 30坪という限られた面積に二つの業種が入ることを考慮し面積比を平面上で何度も検討する中、二つの業種を等しく分けるのではなく、アパレルショップをカット席の一席のように捉えて一対一の対面販売で行うというアイデアが浮かんできた。 通常のアパレルショップのようにさまざまなデザインとサイズを並べるのではなく、ヘアスタイリストならではの長時間対面でのサービスをすることから得られる顧客の好みやセンス、感覚を共有した上で衣服をセレクトし、その人のためだけに選ばれた商品が並ぶ小さなショップになれば良いのではないかと考えた。 そのためにあえてショップスペースは2人が立ち動けるくらいの最小限の面積を窓に囲まれた開放感のある角面に隅切りで配置し、その横に商品の大部分を格納するストックルームを空間のアイキャッチとして彫刻のような立体的な形状で隣接させることで、その人のために選ぶという行為、一手間を強く印象づけ視認できるように考慮している。 面積比にかなりの差があることによりヘアサロンにアパレルが付随する印象を受けないように、エントランスからはアパレルとストックルームしかあえて見えないよう二つの業種が感覚として等価に感じられるように考えた。 Detail 二つの業種が繋がるために建築がなにをできるかと思いを馳せるなか、 現場で家具を設置する時に職人からよく耳にした言葉を思い出した。 それは [髪の毛一本分の隙を開けるという] 聞きなれない言葉だった。 髪の毛を身体の最小のモジュールとして捉えることが今回のファッションとビューティーをつなぐヒントになるのではないだろうか? 髪の毛一本を細く長い線と認識することで、一本の糸へと繋がっていく。その一本を編み重ねることで一枚の布となりそれがさまざまな手法により身に纏う服へと変貌する。 空間構成も髪の毛一本のような繊細な線を意識させつつ豊かな面へと広がり、空間に繋げることができないか考えた。 素材の違いや材質の規格、異なる機能により生まれる建築的な境界。その隙間を空間内にさまざまな寸法で配置し、一本の見えない線を空間の最小モジュールとして意識させた上で素材として線を組み合わせることでさまざまな密度の面が生まれる。 アパレルとサロンは線と隙間で構成されたエキスパンドメタルでできたスチールメッシュウォールで布のように柔らかく視線を遮るように考えた。 相反しストックルームの壁は鉄板を曲げて自然の撓みを加えることでドームのような三次曲線で空間を作った。メッシュがより詰まり一枚の面となることで布のように柔らかく人の身体を立体的に美しく纏う洋服の曲線の美しさを同じ鉄という素材で彫刻的に表現している。 二つの業種が一つの空間に入りその二つが繋がりより溶け合うように素材は少し落とした白の一色で構成し、さまざまなテクスチャーで素材に差異を生み、そこに隙間を計算し発生させている。自然光や陽が差し込み生み出す影によって様々な表情が時間や季節より変わり投影されることで、無機質でありながら、どこか人の手や温もりを感じられる心地よい空間となった。
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