
補足資料





PROJECT MEMBER
FREITAG Store Shanghai(フライターグ上海)は上海の中心地である静安寺エリアの北側に位置し、レジデンシャルエリアに位置ながらも近年は小さなカフェや商業施設などで盛り上がりを見せるエリアに位置する、チューリッヒ店に次ぐ大規模店舗である。 ショップは延平路(Yan Ping Lu)と胶州路(Jiao Zhou Lu)を繋ぐ小さな路地(計画地の前面道路幅が約3mと狭く、そもそも再建築が困難な高密度住宅地域)にあり、二つの通りからもその姿を眺められるような場所に位置する。 長くても2、3年で通りのショップが移り変わる中国のトレンド、商業の考え方において。テナントと長期契約を結んだFREITAGからは「Waste is a design error 無駄はデザインのエラーである」という、環境に対しての信念のある厳格な設計依頼をもらった。 CO2の排出量を最大限抑えるという、表層だけのサステナブルデザインではない、骨太なプロジェクトであった。 今プロジェクトで、私たちはブランドのストーリーを計画地、周辺環境と共に紡ぎ、循環型のストアコンセプトを打ち出したいと考えた。 そこで、計画地にあった既存の建築(1970~80年代に建設された国営のタオル工場)を出来る限り活用しながら、ストラクチャー部分を強化することで、より長寿命な建築物に移行させることにした。 施工工程としては開口部が少ない閉じられたコンクリートとレンガで作られた既存建築に対して、小型の重機を現場に入れて鉄骨で部分的に構造補強を入れながら街に対して大きく開く。または自然光や自然通風を取り入れる開口を開けていく作業を少しづつ行なっていった。その施工過程の中で、例えば現場の工事の仮囲いはリースでレンタルをするのではなく、最終的に既存建築のファサードとの間に断熱材を入れて仕上げにもそのまま用いるデッキプレートを使ったり(資材運搬による環境汚染の減少)。解体した端材の廃材に現場でモルタルを混ぜて、再生ブロック(資源循環)を作り、新しい1階の床材にそのまま転用するなど。思いつく限りのありとあらゆる無駄やロスが出ないデザイン手法を導入した。 また、上海FREITAG新店舗の改装では、CO2排出量を最小限に抑えることに重点を置き、さまざまな対策により、約144t-CO2 eq(約45%)の削減を達成することができた。この数字は、生産、建設、使用後の段階を含み、11,500本のブナの木が1年間に吸収するCO2の量に相当するもの。また、205,000kWhの電力(East China Power Grid)や48.2トンのガソリンを使用した場合にも、同量のCO2が排出されることになる。 この小さな路地に計画された店舗がコミュニティに開かれた存在となることを目指し、1階はリペアステーションが計画された。また各階をつなぐ大きなヴォイドに沿うように店内に垂直収納システムを採用。裏方的な機能を、室内空間全体の中心的な機能としてみせている。垂直収納は各階に1つずつあり、ローテクな手動機構によって床板に向かって移動させることも可能である。 今店舗がコミュニティと共に長く愛される場所、そしてブランドを作るターミナルのような場所になることを願う。