床屋 宙

ビルディングタイプ
美容

DATA

CREDIT

  • 設計
    株式会社クラウドアーキテクツ
  • 担当者
    川上真誠 / 植村卓也
  • 施工
    スマイルホーム
  • 撮影
    大竹央祐
  • 作庭
    織田純平
  • 家具製作
    かわかみ工房

京都御所南に位置する二条通と柳馬場通が交わる交差点角、京都の中心といえる場所に位置する祖父の代から3世代続く老舗理髪店を、お客様1人だけをお招きするプライベートサロンに改修しました。 クライアントからの要望は、以下の3点でした。 ・喧騒に満ちた外部とは縁を切り、静謐な空間としたい。 ・趣味である華道と茶道によりお客様をおもてなしできる空間としたい。 ・道ゆく人に和の文化を感じてもらえるよう生け花を飾るための飾り棚を設けたい。 それらの要望から「市中の山居」(都会にいながらにして山里の風情を味わうこと)を想起しました。そこで、喧騒に満ちた街中(外部空間)と内部空間を壁一枚で隔てる空間構成ではなく、①前庭(外路地)②待合(内路地)③施術スペース(庵)の3つの空間構成に再編し、物理的な境界(距離感)だけでなく、深遠な心理的距離感も設えることで、京都の中心地に身も心もリフレッシュできる「市中の山居」をつくりだしました。 庭師の織田純平氏による前庭は、飾り棚に置かれる生け花によって、その見え方が変化するもので、水に関わる花材であれば水辺の景色となり、山のものであれば奥深い山の景色を想起させます。飛び石を挟む左右の3石は桂花石(木化石)による石組であり、かつてこの場所に大木が存在したかのような印象を与えます。飾り棚の生け花が遠景であるのに対し、この石組みが近景として見立てられることで、わずか奥行1mの前庭が深い奥行きを持った庵へと続く露地となります。 内部空間は和紙や木材、漆喰や薄い鉄板等の無垢の自然素材を用いたエレメントを、浮かせたり、ずらしたり、一点だけで固定したりするなど、物質と重力の受け止め方の関係性に多様性を持たせることで、内部空間の物理的な境界を超えて大きな広がりを感じられる、軽やかな空間をつくりだしました。 ここは目の前に現れている空間と、頭の中で想像する世界が交錯しあいながら、その時々に新たな体感をする余白を持った場所となります。

物件所在地

7