
PROJECT MEMBER
富山県中新川郡舟橋村は面積が3.47㎢と日本一小さな村です。 富山平野のほぼ中央に位置し、富山市まで電車で15分、車で20分という立地の良さから、近年子育て世代の人口増加率が高いエリアです。 人口増加にともなう新しい宅地開発が進む一方で、既存住居の空き家問題が深刻化しているという側面もあります。 舟橋駅に隣接し、鬱蒼とした森のようなお庭に囲まれた古いお屋敷がありました。 このプロジェクトはこの閉ざされた森を、新しい子育てのしくみにより大人や子供たちが集う開かれた地域の庭へと生まれ変わらせることを目的としています。 既存の建物や、庭が持つ佇まいが魅力的であったため、新たに手を加える部分に求められる要素は人々が快適に過ごすいませんための耐震性や断熱性を確保すること、 そして既存の庭や建築の個性を活かしつつ、ここで営まれる活動の背景となることでした。 子供たちの生活の場となる母家には、庭に面した大きな開口に亜鉛メッキ鋼板による大きな庇とゆったりとした土間を設けることで、 縁側から子供たちを迎え入れ、室内と庭を緩やかに繋いでいます。 室内は床・壁ともに富山県産材の杉の無垢板張とし、ソリッドな素材をミニマムなディテールで納め、庭や子供たちの活動を際立たせるための背景となることを意図しています。 離れは「noki」と名付けけられ、地域の人々が集うカフェとなります。 既存の木造躯体を現しにしてガラスで覆い、まさに軒下でくつろぐような解放感を持った空間とし、庭で活動する子供たちを、地域の人々が見守れる環境をつくっています。 敷地内には、これ以外にも蔵や納屋などが残っており、これらは今後の活動の余白として残してあります。 今回の計画で、子供たちが生活する場と地域の人々が集う場をつくりました。 そこから新たな出会いが生まれ、その余白に新たな活動が描かれることを期待しています。