
PROJECT MEMBER
飛騨牛の焼肉、しゃぶしゃぶ、すき焼きを提供する馬喰一代の本店の建て替え計画である。 郊外の立地と提供される肉料理との相性を考え、「庭の中で食べる」をテーマに計画を行った。 飛騨牛を一頭買いする馬喰一代のダイナミックさを一つの切妻の大屋根で表現し、大屋根の下に道路から迫り上がる蛭川御影石の石庭がクランクしながら入り込む事で、客席と庭との親密な関係を作り出し、飛騨牛が育つ大自然を感じる計画とした。 大屋根は中央でスリット状の切れ込みを入れ中庭とし、夜にはスリットから牛の角の造形が内部の光で浮かび上がる。 大屋根の頂点に配置した天井の高い中央の廊下は列柱状に壁が並び、壁の隙間から各個室へアプローチする。 建物の西半分は屋根の形状がそのまま現れた天井高のある開放的な空間、東半分は天井高を抑えた落ち着いた空間とし、各空間にバリエーションをもたらすと共に、東側の大きな小屋裏空間はエアコンなどの機械の設置と、焼き肉のロースターに対しての給気用のチャンバーの役割を果たしている。 廊下からは各個室へのプライバシーを保ちながらも、それぞれ異なるデザインの各個室の雰囲気が伝わり、次も来たくなる店づくりとして考慮した。 列柱状の壁は土を原料とした多治見産の様々なテクスチャーが付けられたハンドメイドのタイルがボーダー状に貼られる事で、地層の様な表情を印象づけ、レジカウンターも同様のコンセプトで蛭川石をボーダー状に積み重ねた。