創業明治十年の歴史あるお茶とのりの専門店『太田園』の移転計画。 歴史ある太田園に相応しい堂々とした構えをつくる為、メイン通りの交差点部分に正面エントランスを位置付け、木板貼りの庇を設け、新店舗のロゴを入れた大スパンののれんを掲げた。 新店舗のコンセプトは『"五感"を刺激する新たなお茶のセレクトショップ』。 自家焙煎したほうじ茶の香ばしい香りが楽しめる焙煎室、 茶葉の違いを実際に触れたり、急須で入れたお茶を試飲できるカウンター、 四季折々のお茶の情報を提供するデジタルサイネージなど、 従来の商品の販売に留まらない、お茶の世界観を様々な角度で体感できる工夫を随所に展開した。 店内は、壁の白、天井・什器の木のナチュラルな色合いを基調とし、 内装、家具の一部に外壁の左官や格子を用いることで内外の繋がりを持たせ、店内に入りやすい雰囲気に。自家焙煎にこだわられている太田園さんらしさを表現するため、壁面の漆喰塗や左官壁、お客様が直接触れる島什器やカウンターに使用したモールテックス塗など、職人の手の跡が見える風合いのある素材にこだわった。 また、工事期間と同時期に解体されたご自宅の庭石や旧店舗の印象的なペンダント照明を移設するなど、新しさだけでなく、太田園さんの歴史(ストーリー)を感じることのできる店舗となるよう設計を進めた。 のれんのロゴについて、 本計画では建物全体の設計施工に加え、新店舗のロゴもデザインさせていただいた。 新店舗のアイキャッチである丸窓をモチーフとし、上下を茶筒をイメージしたカーブでトリミングしたデザイン。 一見して記憶に残る、シンプルかつシンボリックな形状とした。 また、シンメトリーなデザインで創業明治十年の風格ある佇まい、安定感を表現した。
クレジット
- 設計
- シグマ建設+ONO一級建築士事務所
- 担当者
- 小野百合子
- 施工
- シグマ建設
- 撮影
- 田畑信之