
PROJECT MEMBER
この建物は夫婦と二人の子供と夫方の母親が住む長屋形式の二世帯住宅である。 計画地は那覇新都心の東側に隣接する真嘉比古島地区計画区域内に位置する。 戦後復興のなかで急激な人口増加を背景にスプロールにより形成された市街地を土地区画整理事業により住宅地として形成された街である。 敷地周辺環境の特徴は北側前面道路、三方は地区計画の外壁後退を基準に住宅が密集して建っており、南側の敷地の地盤レベルが2m高くなっており日照条件が悪い条件である。そんな中唯一のポジティブに捉えられる周辺環境として南西側に豊かな庭と建物間を抜ける隙間があり永続的に空地が確保できる部分が計画地に面していた。 施主の要望は駐車スペース4台確保、各世帯の完全分離、親世帯に庭を設けること、子世帯はハウスダストの観点からカーテンを設置しなくてもプライバシーが確保できることだった。 各世帯の面積、バリアフリーの観点から1階に親世帯、2-3階に子世帯とした。 敷地の南西側の開けた隣家の庭から十分な採光を採り入れるためそこに隣接して立体的な中庭を配置した。 この中庭はプライバシーを確保しながら中庭に差し込む沖縄の強い日光を壁と床に反射させ室内に柔らかい光を取り込む。 さらに1階と2階が立体的に繋がっているため外部空間を介して親世帯と子世帯の緩やかな繋がりをもたせている。 内部は閉鎖的で無機質な空間にならないよう敷地の高低差を活かした空間ボリュームの変化と開口部からの光の取り入れ方を操作して季節や時間によって表情が変わり光と影の関係を強調する空間とした。