
PROJECT MEMBER
ヤマチクファクトリーショップ 拝啓 熊本県南関町で60年間「竹の、箸だけ」を作り続ける株式会社ヤマチクのファクトリーショップ。 工場に併設する75㎡鉄骨造の倉庫をショップ兼カフェとしてリノベーションし、 「何もない」と言われる田舎まちの、観光スポットとなるようなお店・場所づくりを求められた。 ディスプレイされるお箸や、全国からセレクトされた工芸品を引き立てるよう、 インテリアは白を基調とし、 ショップ、カフェ、商談コーナー、インフォメーション、フォトスポットなど、 小さな店内の中に求められる複数の機能を丁寧に設えた。 250種類以上のお箸を一覧するために壁面を有孔ボードとし、 お箸をディスプレイする治具も一部シリコンで特注し製作した。 また、ディスプレイ壁面に沿って横長のハイサイドライトを切ることで、 深緑の山を背負って建つという場所性を店舗の中に引き込み、 日常で意識されていなかった、周辺環境の特性を再認識させる仕掛けとしている。 お箸を引き立てるため「お膳」をイメージした什器は島状にレイアウトでき、 ポップアップなどのイベント時にも柔軟にディスプレイができる設えとした。 お箸を使って食べるスイーツを提供するカフェのカウンターは 竹をイメージさせるグリーンの骨材を混ぜた研ぎ出し仕上げとし、 天板はしっとりとした手触りを感じられるようにした。 外観は倉庫の形体をそのままに、背後の深緑に映える白い箱とした。 外壁の看板代わりとなるショップのロゴは、地元の焼き物の陶片をモザイクで製作し、 職人の手仕事と遊びが同居する仕上がりとした。 シンプルでプレーンなショップとは対照的に エクステリアは人工芝を敷き詰めたポップな小さな広場を設えた。 広場中央にはFRPで製作したお箸のオブジェを設置し、 まちの人々に受け入れられるキャッチーな親しみやすさを目指した。 地元の人から「何もない」と言われるまちを「自慢したいまち」に変える、 そんな可能性の萌芽が期待されるショップとなった。