Hair room TOARU

区画整理に伴い建替が必要になった、地方のロードサイドに建つ美容院である。前面道路は終日車が往来し周りは駐車場が多くを占めるが、少し離れれば市域の3/4を森林に覆われる地域であり、林業が盛んで昔から木材(西川材)を筏で流送していた。その地域資源の利活用が推進されているが、非住宅低層建築物の木造木質化は進んでいない。クライアントからは、明るく広いスペースとウイルス対策に有効な換気性能、それを担保するサスティナブルな建築が求められた。これら多様な状況が自然に建ち現れたような空間をつくれないか、建築の意匠や形式から離れ、美容院やまちの風景、モノコトを建築的に組み換えることから考えていった。ヒューマンスケールを超える大きな鏡(RC壁)をもつ2.3m角のカットスペースをずらしながら配置し、間に大きな木机(CLT屋根)を架けていく。それらはアングルとビスだけのまさに家具と同じ簡易的構法で接合し、RC壁は面外荷重に対応、CLT屋根は梁のない長スパンの架構をつくる。それらは防耐火条件や環境性能に適材適所に対応し、重量や熱負荷、コストを抑えながら木目を最大限表すことができる。屋根の間からは間接光が差込み、屋根伝いに流れる風が髪を巻き上げることなく有効な重力換気を促す。内外に連続する植栽は反射で増幅され、緑に包まれた環境をつくる。かつて流送した木材を屋根に、ロードサイドの車を反射で取込み、今昔の流れる風景を建物に重ねる。美容院の小さな活動要素が意味や用途、スケールを超えて建ち現れ、モノコトが多層的に混成する自然な建築を創造した。

クレジット

  • 設計
    関口貴人建築設計事務所+新明工産
  • 担当者
    関口貴人
  • 施工
    八木建設
  • 構造設計
    tmsd
  • 撮影
    大竹央祐
  • 電気設備設計
    EOS plus
  • 機械設備設計
    Gn設備計画
  • 家具
    ニッコウ
  • 植栽
    温室

データ