Moisteane Salon Lupinus

ビルディングタイプ
美容
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317
日本 山形県

補足資料

平面図
図面
模型
模型写真
外壁とルピナス
コンセプトイメージ
柔らかなカーテンで包む
コンセプトイメージ
模型
模型写真
模型
模型写真
模型
模型写真
模型
模型写真

DATA

  • ビルディングタイプ
    美容
  • 構造
    木造
  • 工事種別
    新築
  • 延べ床面積
    59.2㎡
  • 竣工
    2017-09

CREDIT

  • 設計
    Ginga architects
  • 担当者
    武田幸司
  • 施工
    鎌田工務店
  • 撮影
    小関 克朗

Moisteane Salon Lupinus は、山形市内の幹線沿いに建つ化粧品販売を併設した平屋のサロンです。外観を“サイン”として見せるシンプルな佇まいと、店舗名に由来するルピナスを足元に植えるというランドスケープの計画が、店の物語を外部へとつなげています。 敷地や街路との関係から、建物は「見せる外観」と「内側に蓄える空間」を二層で成立させています。外側は控えめなボリュームで通行者にサインを示し、内部では長さを生かした連続的な路地感と、個室的な閉じた機能が併存する構成により、奥行きと居心地を両立させています。来春のルピナス植栽は、外部のシンプルさに柔らかな季節感を与える意図でもあります。 開放と閉鎖の比率でつくる“膨らみ” 20坪の平面を西側のオープンなサロン空間と、東側の閉じたお手入れ/事務系の空間に分節することで、プログラムの重心を内側(東)に寄せ、あえてサロン側に余白=「膨らみ」を生んでいます。閉じた機能が体積を取ることで、対照的に円弧で区切られたサロンは伸びやかに見え、長さ方向の視線を巧みに使って奥行きを強調します。こうしたプログラム配分の操作は、限られた面積でも体験的な広がりを作ります。 曲面、光、そして“皮膚感覚” ここでの円弧は単なる形態ではなく「柔らかな境界」として働きます。曲面の包み込みが視線をそっと導き、シースルーのレースのようなカーテンは物理的な隔たりをつくりつつ光を拡散して肌理のある明るさをつくり出します。間接照明がカーテン越しにふんわりと壁面を照らす様子は、化粧品サロンのコンセプト──“肌への優しさ”──と直接響き合います。すなわち、建築の外皮(カーテン+照明)は来訪者の「触れられる感覚」をつくるスキンとして機能しているのです。 開口と庭、視線の抜け、利用体験の流れ 西側の壁沿いに置かれたテーブル下のスリット状開口は、玉砂利の小さな庭へと視線を抜かせます。タイルや白を基調とした内装は清潔感を保ちつつ、木造平屋の素地感が温かさを与えます。こうした細部の取り合わせが「カフェのような居心地」を生み、小さなスケールでも豊かな体験を成立させています。 アプローチの庇がつくる路地的な導入から、曲面によるやわらかな分節、そしてテーブル脇のスリットで庭に抜ける視線へと続く一連の流れは、訪れる人にとって自然なリズムを生みます。圧のある部分(閉じる機能)と解放される部分(サロン)をリズミカルに並べることで、短い距離の中に“入っていく愉しさ”が生まれます。 ルピナスが足元で揺れる季節、この小さな平屋は肌に寄り添うような柔らかな光と曲面で、訪れる人の心と肌をそっと包む“日常のためのやすらぎの場”へと姿を変えるだろう。

物件所在地

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