ひとつの建物、2棟の家、三世帯住宅

ビルディングタイプ
共同住宅・集合住宅・寮

DATA

CREDIT

  • 設計
    一級建築士事務所 中村建築
  • 担当者
    中村堅志
  • 施工
    株式会社 司建築
  • 構造設計
    正木構造研究所
  • 撮影
    平井広行

敷地は、最寄り駅から徒歩2分ほどの住宅地にある46坪の旗竿形状。元の住人であるご両親と兄夫婦・弟夫婦の3世帯のための住宅を、兄弟の資金により建て替える計画である。世帯間の関係は非常に良好であるが故に、世帯相互のプライバシーの確保を望まれた。 一般的な銀行融資では、一つの建物を兄弟で組むことが慣習的にできないこともあり、「長屋建て」が前提条件として導き出された。「長屋建て」特有の界壁一枚を隔てて隣り合わせになることのないように「戸建て」に近い建ち方を模索した。それがこの住宅地での過度なボリュームを抑えることにもつながるだろうと考えた。 そこで、ひとつの敷地にひとつの建物として解釈される最低限の条件で、2棟の住宅を建てることとした。構造的に別々に成立している2棟は、内部空間で意匠的に接していることによって法的にひとつの建物として定義されている。 2棟から伸びた庇により出来た1階部分の隙間に、3世帯の玄関を設けパブリックなゾーンとし、この玄関より先は行き来のできないプライベートな空間とした。これにより3世帯が時折顔をあわせつつも独立しているような、適度な距離感のある関係をつくり出している。 周囲になじむように建つ2棟の住宅により、3世帯分の「ボリューム」と「関係」を整えるようなあり方を目指した。

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