MANOA used clothing

ビルディングタイプ
アパレル・雑貨
11
1,093
日本 広島県

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    FATHOM
  • 担当者
    中本尋之 / 板谷尚樹
  • 施工
    FATHOM
  • 撮影
    足袋井竜也
  • 特殊金物
    村田進(賀茂クラフト)
  • GREEN
    高田直人(PELE plants & flowers)

広島市中区の並木通りの半地下で長年お店を構えてきた古着屋の移転プロジェクト。移転先は1階で広さも倍以上となることから、これまでのコアな古着好きだけではなくもっと幅広く顧客層を広げていきたいと設計の依頼を受けた。移転前の所狭し並べられた商品を見た際、古着でありながらも一つ一つが丁寧に処理された手仕事が伝わる、まるで一点物のオートクチュールのように思い、 それはこれまで感じていた古着の概念を一瞬で変える力を持っていて、 その感動が訪れた方に伝わる空間にすることが必要だと感じた。 歩道のない通りであることを考慮し、ファサードを少しセットバックさせ手前にエントランスポーチを作っている。古着が生まれるサイクルの中において完成品が並んだ店内は所謂ゴールとなる。エントランスポーチにはスタートとなる海外で買い付けて国内にコンテナで運ばれてきた荒い未加工の生の状態を表現するため、古着を圧縮しアクリルで固めたものをアイキャッチとして設置した。コンテナを開けた時、買い付けに行った店主だけが目にする無限の可能性が詰まったわくわくする塊を訪れた人にも最初に感じてもらえたらと思う。 店内を入って左側にはレセプションとメンテナンスを同時に行えるようL型のカウンターを設け、買い付けた古着に一手間加える姿をオープンキッチンのようにシズル感を持たせ演出し、台車やアングル、リールコンセントなど生産工場で使われる機能美を再解釈し空間内に表現している。既存の古着屋のように木を多く用いた薄暗い空間ではなく、古着を生産する工場とセレクトショップが持つ洗練された美しさを一つの空間に混在させることで商品のクオリティがしっかり伝わる明るく見通しの良い場になるように考慮した。 しかし海外の古着というテーマのみで集められた様々な型で構成されるバラバラでカオスな配色をもつ商品群が、洗練されたシンプルな空間に落し込まれると、両者のコントラストが強くなりすぎ空間と商品が分離してみえることが懸念された。そこでエントランスの扉やハンガーなど商品が置かれる什器や人が触れる部分の金物は、普段はネジなどの小さな部材に使用されるユニクロメッキを用いた。ユニクロメッキの持つ真鍮色から虹色の有機的なグラデーションが商品群と連動することで一つに繋がり空間に調和が取れるように考えた。 ぼろぼろの古着が海を渡り届き、一つ一つ丁寧に加工され商品として店頭に並ぶまでのサスティナブルなサイクルが訪れた方に一目で伝わることで古着を愛する層の裾野がより広がっていくことを願っている。

物件所在地

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