
PROJECT MEMBER
風景研究所で設計した「多重の家」の一部において、運営も担いながら、オルタナティヴスペースとして街に開いていく試み。その柿落としとして写真家升本尚希の個展を行い、出展作のひとつとして生花店「橘」とのコラボレーションが行われた。 準備期間中の作家との対話のなかで、花と展示空間と写真の関係性について考え始め、建築家がその調停役として急遽参加することとなった。 写真作品に呼応するように選定されたさまざまな色彩やかたちを持ったチューリップを生けるための、浮遊する花器。水たまりのように床に散りばめられた写真たちと100本のチューリップ、空間のプロポーションから、AIを用いながらいくつかのパターンを検討した。オプションの中から、道状に連なったスキップフロアによる建築の全体構成にしたがった、動線に寄り添った流れのある全体形を選択した。 廃棄されたガラスの実験器具を天井から吊り下げ、天井に向かって大きくなる洞窟のような形状をつくっている。花を生けた時の密度感はgrasshopperにより最適なバランスを検討し、鑑賞者を浮遊する花々の色彩が包み込むような、臨場感のある空間を目指した。 設営時には、現場で細かく調整をかけていったが、スピード感をもってより良い空間を作るために、AI等のツールにより横断的なチームに具体的な情報をすばやく共有していくことが、コミュニケーションの上でおおいに役に立った。