hubawa -阿波の工芸文化発信拠点-

ビルディングタイプ
アパレル・雑貨
11
638
日本 徳島県

DATA

CREDIT

  • 設計
    中西康崇
  • 担当者
    中西康崇
  • 施工
    竹岡義和 / 河野修平 / 森寛之 / ワークサイン株式会社 / 野原洋介

徳島県内の職人技術や伝統工芸の継承・発信をテーマにした新規ブランドの店舗計画である。3人の発起人の意志から芽生えた「阿波をつなぐ(hub×awa)」というタグライン。それを体現する店舗のあり方を目指し、ものづくりの源泉を体感できるような内装計画としている。 1.地産杉材―透かし格子棚 大きなショーウィンドウの奥には県内の豊富な資源である杉材を用いた格子棚を設けている。通りに向けて額縁を浮かばせるディスプレイを目的とした棚であるため、額縁間隔が無理なく確保可能な二重格子形状としている。また、視覚的には柔らかいシェードのように室内の気配を見え隠れさせながら、両面遣いの棚として店舗の印象を決定づける機能を果たしている。 2.鍛冶屋の鉄粉と鉄片―鉄粉漆喰壁 現代の名工、大久保鍛冶屋が当店舗で取り扱う製品を製造する過程で生じた鉄粉や鉄片を原料に織り交ぜた漆喰壁。壁面施工は同じ徳島県を活動の中心とする現代の名工、竹岡義和氏による。 店舗空間の中で最も直射光から遠のいたコーナー部には鉄粉を多く配合した濃墨色を施し、壁面は徐々に荒々しくグラデーションを描きながら淡墨色へとシフトしている。淡墨色の壁面部分には藁すさを表層に吹付け付着固定させており、さらに黒砂を投げつけて凹凸と光沢を忍ばせるなど、幾重にも重なった左官工程によって、独特の重層感のある壁面に仕上げている。 また壁面の最端部には、鉄片を用いた花のモチーフが埋め込まれている。 3.突板―収納展示棚 短冊状の幕板を特徴とする2段天板型の展示棚。幕板材に用いている突板は、材としては一般に普及しているオークのみであるが、木目の角度、板目や柾目やロータリー、幾何学模様など、貼り方の差異によって端正で変化のある表情を与えている。 4.工場廃材と漆―エイジングテーブル 天板は上下2段構成となっている。上段は木材工場で突板加工機の製材受けの台として50年以上用いられていたコンパネ材を木加工工場から譲り受け、そのままの状態で天板として用いている。下段は新しいコンパネ材に鉄焙煎と柿渋を散らして散布し、独特のムラを表現している。中央付近には表面の粗い一枚板に濃灰色の漆を仕上げ、店舗空間の中心に日本の伝統工芸を象徴した質感を浮かばせている。漆塗りは堤卓也氏による。 5.鹿角と阿波青石―ドアハンドル 徳島県南エリアにある牟岐町で猟師、家形智史氏が捕獲した鹿の角を用いたドアハンドル。上下に2本の角を配置し、阿波青石を手加工で丁寧に継ぎ、角と青石のジョイント部は真鍮で縁取りを与えている。ものづくりをその工程やルーツに遡って伝えることを使命とするhubawaにとって、主要製造ラインとして欠かせない天然皮革のストーリーを入口の扉に暗示的に表している。製作は野原洋平氏/ハゲワシ堂による。 施工は制作プロセスや工事内容が極めて特殊であることや、超短工期に応えるべく、原材料の調達から施工まで完全分離発注方式を採用した。また、設計から施工管理まで一貫して設計者が担い、専門性によらず広く有志を募ることで、参加型プロセスによってつくり手の想いを結集した拠点プロジェクトである。

物件所在地

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