NOT A HOTEL FUKUOKA

街、建築、自然、その間 閑静な住宅街に建つ分譲型ホテルの計画。 周辺の戸建住宅、庭、公園、街並みとシームレスに連続し、そのどれでもありながら、どれでも ないような存在をつくろうと考えた。多様な可能性をそのまま許容する不確かな存在として建築を捉え直す。 福岡県福岡市の中心部に建つ、ラグジュアリーホテルの計画。ホテルにも別荘にも自由に利用形態を変更できる、最新技術を導入した分譲型のホテルであり、利用者は各地に散らばる同ホテルを相互利用することができる。「旅するように生活する」ことをコンセプトにした新しい形のプログラムである。住宅(別荘)とホテルの間のような、新しいライフスタイルに対応した建築が求められた。多様な暮らし方に対応するため、大きなデスクがあってワークスペースに特化した部屋や、シェフを呼んで食事を楽しむことに特化した部屋など、それぞれ異なるコンセプトを持った客室が8室積み重なっている。与件をヒアリングした当初から、様々な住民が住む家が積み重なってできた、立体的な街のような空間をイメージしていた。 敷地は福岡市の中心に位置する閑静な住宅街。公園、神社に隣接し、客室からは近くの川、小学校も見える。周辺の喧騒や視線に配慮しながらも、公園の緑に対しては開放的な環境を設えようと、検討を重ねた。また、周辺には2階建ての庭付き戸建住宅の街並みが広がっている。そのため、大きなボリュームが突然立ち上がることに違和感があり、戸建住宅のスケールまでボリュームを細分化できないかと考えた。 構造はRC造5階建、屋上には客室占有のルーフトップテラスを有する。各客室が必ず植栽とテラスに囲まれるように計画し、日影を考慮して各階ボリュームを徐々にセットバックさせた。また、分散された各テラスは、周辺からの視線を切るように、角度を適宜振りながら壁を立ち上げている。結果的に、一つの小さな山とも立体的な街並みとも言えるような形になった。 周辺の戸建住宅の街並みや隣接する公園の自然とシームレスに連続する、そこに昔からあったような存在。一方で、新しいライフスタイルの象徴でもあるような存在。多様な視点、可能性を許容し、単一の視点では捉えきれないような、不確かな建築を目指している。

メンバー

クレジット

  • 設計
    axonometric + NKS2 architects
  • 担当者
    佐々木慧 / 佐藤寛之 / 山﨑基弘
  • 施工
    松山建設 / 長崎船舶装備
  • 構造設計
    荒木美香構造設計事務所
  • 撮影
    YASHIRO PHOTO OFFICE / Kojima Yasutaka
  • 設備
    シード設計社
  • 照明
    ModuleX
  • 植栽
    DESIGN NETWORK ASSOCIATES
  • 事業者
    Good Life & Travel Company
  • 運営
    NOT A HOTEL MANAGEMENT
  • 監修
    IMD Alliance + オレンジ・アンド・パートナーズ

データ

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