


PROJECT MEMBER
◼️雨が降るとサウナのようないい香りに包まれる 竣工写真撮影時の夕暮れ時、ふと奥様が口にされたこのさりげない言葉がこの家のタイトルになりました。雨の日も心が豊かになる住まい、引渡から数ヶ月が経過し、設計者の意図していなかったところで、住まい手が日々の営みの中でキラリと光る小さな悦びを見つけてくれています。とても嬉しく、素敵なことだと思います。 ◼️対話と家づくり 埼玉県上尾市の閑静な住宅地に建つ5人家族のための住まいです。設計当初より、家づくりにご家族で熱心に参加されている様子がとても印象的でした。外壁の素材は金属と木で2つの希望が出ましたが、対話を重ねる中で、人が触れる場所には木材を、それ以外には白い鋼板を配置することになりました。その結果、画一的に外壁材が切り替わるのではなく、建物を包み込むように、二つの素材が組み合わさって混在する柔らかな外観となりました。これもご夫婦のお人柄が現れた意匠の一つだと思います。 木材は飯能市の岡部木材店で丁寧に製材されたやや光沢のある椹材です。4寸、5寸、6寸と異なる幅の材料の組合わせパターンを作成し、指示書に従って一枚一枚丹念に施工してもらいました。鋼板も同様に3種類の異なる幅の既製品を組み合わせることで、コストを抑えながら、揺らぎのある表層として仕上げました。ご家族で木材保護剤の塗布にも挑戦して頂きました。時を経て、ご家族の成長や草木の生育と共に建築も深みを帯びた姿に変化していきます。 ◼️メダカが泳ぐ中庭 シツラエの村田さんのご提案で、中庭にビオトープをつくる計画となり、虫や小動物が集う小さな自然を内包した豊かな外構空間が生まれました。四季や植物の成長、刻々と移り変わる陽光と外壁に伸びる影、風に揺れる木立の葉や池水の音、水辺に生きる小動物の気配、静寂。毎日繰り返される生活の中で、その周縁で起こっている細やかな環境の変化が住まい手の日常に潤いと彩りを与えてくれることを願っています。

