




この敷地は路線バスが通る幹線道路に面している、時速50km~60kmで車がアクセルを踏む道路であるため、とにかく昼夜問わず車の騒音が非常にうるさい敷地である。もう一つ頭を悩ませる事が建設敷地が準防火地域に該当することであった、2014年から住宅用サッシの防火設備は通則認定から個別認定に法改正され防火設備の価格が高額になり、また防火設備個別認定品による大開口の開口部は現実不可能になった。この2つの問題を解決するため、前面道路側に「防音」と「防火」の両方を兼ね備えた、「防火音壁」を設置する計画とした、防火音壁の設置により防火設備からの法的制限から解放された大開口の開口部が可能となった。夫婦と子供の4人家族であるこの建物は、「天気のいい日には外でごはんを食べたい」との考えの中から「外のダイニング」を設置した、外のダイニングには、キッチンで作った料理をそのまま外に持っていきすぐに食事ができるように、キッチンから一番近い位置にフラットでつながる位置に配置している。又防火音壁が外部からの音と視線をシャットアウトしているので、昼夜問わず人目を気にせず食事を楽しむことができる。リビングデーブル、ダイニングテーブル、外のダイニングテーブルの3つを一直線に配置し、内と外との領域を取り払う効果をねらっている、又一直線に配置することで視線の飛ぶ距離を長く通すことができ、広がりと解放感を感じさせるねらいがある。キッチンは家の司令塔であると考え、キッチンからの動線には終点をつくらない、動線を循環させ、キッチンからはすべてが見渡せる明るく一番条件の良い位置に配置している。開口部には音環境、熱環境を考慮してダブルスキンを採用している、そのため外部の騒音を40dBカットできるため幹線道路沿いの建物とは思えない程の静かな室内環境を作りだしている、又寝室については、夜はぐっすり睡眠ができる室内環境を作り出している。すべての窓を天井付近に高く配置することにより、この建物にはカーテン、ブラインドは存在しない。念のためのブラインドBOXを設置したが無意味であった。当初計画は3階建てであったが、その後にコストバリューが求められた、当初計画は周辺環境に配慮し「3階建てに見えない3階建て」のコンセプトで計画していたが、3階部分が見えなくなり、やがて無くなってしまい「2階建て」へと変化していった、そして「3コート」から「2コート」へ、とどめに「1コート」へと変化を余儀なくされた。一時は建物を完成させる事だけが最終目的となってしまう時もあったが、これではいけないと何度も自分に言い聞かせ何度も軌道修正した。結局4回の設計変更を行っているうちに2年半の月日が流れてしまったが、主要なコンセプトは、なんとか維持し続けることができたと思う。

