House K/S

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    吉原 環建築設計
  • 担当者
    吉原 環 / こばやし あきのり
  • 施工
    野崎工務店
  • 撮影
    矢原 亮

3世代を育んだ大家族型住宅のリノベーション。 住まい手の世代交代によるライフスタイルの変化に合わせた住空間の構築とともに、家族が共有する家の記憶を継承することで、核家族化し 分散した家族の第二のリビングとして、愛着のある拠り所を継ぎつつ、住まい手が新たに記憶を刻む家としての設えをデザインした。 定年退職や子育ての終了を機に家を住み変えるというのを耳にするが、親子、あるいは孫の代へと世代の交代はどの家庭でも起こりうることであり、「いかに愛着を継承し、後世に醸成していくか」を現代における家と家族が抱える継承のテーマと位置づけ、計画した。 そこで、既存の空間を愛着を持ったまま保存すること、そして家族がこれからどのように愛着を育むことができるかという2点に重点を置き、日本の住宅の住み継ぎ方を考えた。 住み継ぐ手法として欄間や長押・貫穴といった従来の日本家屋が持つディテールを残し、旧家の間取りを身体よりも上部に保存しながら自由な平面へと改修している。同時に、経年変化を起こす真鍮で新旧の木部を継ぎ、新たな家の記憶を目に見えるカタチで刻んでいく。 巣立っていった子どもの家族にとっても第二のリビングとして機能する家族の拠り所となるよう、旧家では来客時にしか使われる事がなかった客間をLDKとしてまとまった大広間とすることで家族に重きを置いた部屋とし、ハレとケで分断されていた空間を繋ぐ事にした。 一方で長く住み続けるために、モジュールを揃え、移設可能な障子を用い、ハレとケの空間を容易に分離できるようにし、可変性のある空間とすることで柔軟に生活様式の変更に対応できるようにしている。

8