The Rouge

ビルディングタイプ
レストラン

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    Inrestudio
  • 担当者
    Kosuke Nishijima / Nguyen Thien Thanh
  • 施工
    Tbd Group
  • 撮影
    Hiroyuki Oki

ホーチミン市に構える鮨屋の拡張計画である。隣接する建物を改装し、最大数の個室及び最大限のバックヤードの確保が求められた。既存建物は古い煉瓦造の町屋で、高い屋根と分厚い側壁に囲われた空間はシンプルかつ力強い。しかし度重なる改装により空間は細切れにされ、従来の特質はほとんど語りえぬ状態となっていた。後付けで施された構造物や化粧材を全て取り除き露わにされた裸の煉瓦の壁には、建物の経た出来事を偲ばせる様々な刻印が見て取れる。再び細分化を余儀なくする新たな機能を満たしながら、この小さな歴史を空間として引き受けることは可能だろうか。 建物内に2つの箱を挿入し、諸機能を収める。箱の配置は、もともとの煉瓦の表面をなるべく大きく残すように決められている。構造的には控え壁として働いている新たな箱は、既存の建物と同質の煉瓦で覆われているが、その来歴の違い(建設されたものと発掘されたもの)から、新旧の壁には質感の差異が見られる。既存の壁は荒々しく所々パッチワーク状に異なる時代の煉瓦が埋め込まれていたりするが、新たな壁は一様でおとなしい。箱の内部となる個室の仕上げは平滑な板張りを基調とした。各個室の壁面に穿たれた開口部を通して、煉瓦に刻まれた歴史の一部を垣間見ることができる。 自然色を纏った坪庭を抜けて建物の中に入ると、黒に統一された空間に朱塗りの天井が浮かび上がる。「日本的なもの」を連想させる天井の色と形は、鮨屋というプログラムを空間に紐づけると同時に、箱の挿入という図式的な空間構成の経験に変化をもたらす。エントランスより続く不規則なオリガミ天井は、既存と新設の壁に挟まれた細長い廊下のシークエンスを豊かにしながら、屋根裏の個室を動的に彩る。3つ並びの個室に浮かぶ変形格天井は、可動間仕切りのレールを統合すると同時に、空間の静けさに寄与している。静と動の共存もまた、日本的な感性を刺激するものかもしれない。

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