的形の週末住宅

ビルディングタイプ
戸建住宅
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PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    l y h t y(リュフト)
  • 担当者
    黒木大亮 / 玉利尚美 / 小泉美由紀 / 稲垣樹 / 森永未結
  • 施工
    直営分離発注方式
  • 構造設計
    ルート構造設計事務所(担当:太田) / JUNTOS(担当:浦野)
  • 撮影
    笹倉洋平(笹の倉舎)

的形の週末住宅 / l y h t y 兵庫県南西部的形地区に建てられた1階RC造、2階3階木造一部鉄骨造の混構造三階建ての住宅である。  的形地区は古くから商業、塩田で栄えた地域で街並みにはかつての趣を垣間見る事ができる。敷地はこの的形地区の最南端エリア、入江と小山の狭間に位置する。敷地南西には神社、西側の小山を背に南に瀬戸内海と東に入江を望み眺望に優れる。この豊かな眺望を享受する建築が望まれた。  この土地に建つ建築として的形の美しい景観に違和感を与えない、主張しない建築であることを目指した。 入り江、海岸より数十mという敷地のため災害を考慮する要望があった1階はRC造とし2階3階木造部分は的形地区の歴史ある家屋を踏襲し焼杉板貼りとした。この焼杉板も建物の規模、プロポーションにあわせて従来の既製品(165mm)の寸法より細幅(105mm)で制作した。防虫防腐効果が高く瀬戸内地方の沿岸部の街並みにも古くから用いられてきた焼杉板という素材もスケールを再考することで現代的な印象になった。  屋根材には周囲の景観に違和感を与えず、自分達の使う電気は自家発電したいという要望に応じて屋根一体型太陽光パネル(モノクローム)を採用した。  景観を楽しむためのテラスデッキ、RC造片持ちスラブとし更にデッキ下の梁を跳ね出しテラスデッキを支えた。奥行き3mのテラスデッキが二階LDKをぐるりと囲む。料理好きのご主人のために造作したキッチンは山側に向けて設置、木々を眺めながら料理が出来る。対面には同じ仕様で作業台兼用テーブル、作業スペースの床レベルを150mm下げることによりキッチン側からは作業台(875mm)リビング側からはテーブル(725mm)という寸法高さを確保した。  この建築において開口部は採光、通風は勿論のことどの部屋からも的形らしい景観のみが視界に入るように意識した。瀬戸内海と入江、木々の移ろい、美しいこの地の風景を切り取ること。  平面配置計画において元々この土地にあった樹木は可能な限り残し樹木を交わすように建物を配置した。母屋は敷地中央にある枝張り10mのエノキ、隣地の神社より伸びた桜、楠等を交わす形状で配置した。建物の高さを抑えたプロポーションとすることにより将来的には敷地の樹木、神社、裏山の樹木に包まれてひっそりと佇む建築となる。この建築が年を経て的形の景観になることを望む。

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