DATA

CREDIT

  • 設計
    金沢美術工芸大学西本耕喜研究室 / 山本周 小林栄範
  • 施工
    けやき住建
  • 撮影
    河野幸人

実家のダイニングキッチンにはブラインドを下ろし、スラットを閉めたままの窓があった。子どもながらに不思議に思い、母親に聞いた記憶がある。理由は朝日が眩しいからとのことだった。実家は北海道にあり、緯度は北緯43度48分。太陽が低い位置にある時間が長い。試しにブラインドを開けてみると、部屋の奥まで陽の光が差し込んだ。厳しい冬を知っている身体に、ポカポカした柔らかい輝きが心地よく感じられた。 「501」は、石川県金沢市にある6階建てマンションの5階の西の端にある。4LDKの間取りには南西の二面にバルコニーがつき、その先に風景を遮るものがない。そのため太陽が日本海に沈むまでのあいだ、外窓から西日が差し込む時間が続く。少し夕方が長い、角部屋の住戸である。 一方で共用廊下のある北側は暗く、玄関やコア状の水回りには光が届かない。そこで既存のインフィルを活かしたまま水回りのプランを回転し、外窓の位置に呼応させて内壁に孔をあけた。日が傾きはじめると北面のタイル壁は西日をリフレクトし、ゆらゆらと輝きはじめる。外窓のない玄関やピアノ室からは、赤く染まる内窓が見える。 nLDKの住戸プランは、戦後の住宅難から続く間取りの系譜にある。この間取りをリセットするのではなく、価値を高めながら住み継ぐことができないかと考えた。画一的なnLDKの間取りを、北緯36度54分にある6階建てマンションの5階の西の端という条件に合わせて調整する。「501」は、1日のなかで最も陽が当たる夕方に柔らかい輝きを放つ、西南向き角部屋の4LDKである。

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