光互の住居

ビルディングタイプ
戸建住宅
11
856

補足資料

平面図
図面
断面図
図面
アクソメ
コンセプトイメージ

DATA

CREDIT

  • 設計
    中土居宏紀建築研究所
  • 担当者
    中土居宏紀
  • 施工
    中土居工務店 / 古井裕貴
  • 構造設計
    中土居宏紀建築研究所
  • 撮影
    中土居宏紀
  • 庭園
    SCOP / 嶋かずみ

クライアントのご夫妻は老後の生活を見越し、2階建ての中古住宅を平屋へ建替えることを決心した。 既存のお住まいは南側に広い庭を有しながらも、隣家の2階窓からの視線を遮るためにカーテンが閉じられ、庭への眺望も得づらいリビングとなっていた。建替えに際して、隣家や隣接する公園からのプライバシーを確保しつつ、開放的で明るい住まいにしたいという、一見相反するような要望から設計がスタートした。 まず、既存の庭の植栽を保存、新たに四季折々の表情豊かな植栽を加え、スロープを庭に沿うように設けた。住宅は以前よりも庭と近接させ、単に遠目に「在るだけの庭」から、植栽の木漏れ日や四季の表情を「身近に感じる庭」へと、住まいと既存の庭との関係を見直した。 スロープの先には玄関ポーチと、リビングから続くインナーテラスを兼ねた庇の下の半外部空間がある。ここは隣家2階の視線を見切る為の垂壁と、公園からの視線を防ぐ腰壁が互いに重なり合う形状とすることで、プライバシーと眺望の両立を図った。腰壁は午前は東からの日光を受けることで反射板となって室内を明るく照らし、午後は西日を半減するほか、リビングからは庭の植栽と公園の木々が連続して見えるようにした。 また、雨戸や引込戸、カーテンの開閉により、内部と外部の性質を自在にコントロールし、暮らしを拡張する仕掛けになればと考えた。 住まい手は高低・奥行きの異なる諸室を回遊する中で、周囲に広がる公園や庭の四季の移ろい・多彩な光の満引きを刻一刻と感じるだろう。 性能面では樹脂サッシや90mmのフェノールフォーム、高性能グラスウールなど、高断熱の外皮仕様としつつ、太陽光パネルと蓄電池を搭載することによって、年中の殆どの電気を自家発電で賄うことを可能とした。 間取りは尺貫法を下敷きに施工性を高めることでコストの削減を図り、耐震性能は等級3を確保している。 近年の気候変動や災害、電力価格の高騰により、住宅性能の向上は免れないにせよ、住まいが外に開くことが即ち温熱環境や構造強度を損なうのではないかという日本の古い住宅観を少しでも払拭したいと考えている。 閉じることと開くこと、相反する住まいの根源的な要求に応じつつも、問題解決に留まらない、普遍的で大らかな現代の平屋の在り方を目指した。

PROJECT MEMBER

施工
中土居工務店, 古井裕貴
構造
延床面積
91㎡
竣工
2024-01
11