NAKI Vegan Sweets

ビルディングタイプ
カフェ
3
425
日本 大阪府

DATA

CREDIT

  • 設計
    スーパーマニアック
  • 撮影
    藤井浩司

土のぬくもりと優しい光に包まれた空間 大阪は難波のド真ん中の繁華街にあって、その存在をひときわ際立たせている超長細い建物が、この店舗です。ここは完全菜食のみの素材にこだわって作り上げるヴィーガンスイーツの専門店です。ヴィーガンと言えば健康的でナチュラルなイメージを想起する人が多いと思いますが、設計者である私もその一人で、周りの人に聞くと、やはりナチュラル、オーガニック、健康というキーワードが出てきます。オーガニックとヴィーガンは決してイコールではないのですが、世間の人々の持つイメージはやはり上記のキーワードへ行き着くようです。 そこで、まず私たちが考えたことは、人々の本来持っているヴィーガンへのイメージをもっとストレートに膨らませることができる空間でした。まだまだ真の意味では認知不足のヴィーガンスイーツを人々にもっと意識しやすいように、空間からナチュラル感や健康的なイメージを、よりわかりやすく、よりインパクトの強いデザインにしていくことで、「なんか健康そう」「健康的だな」といったイメージをお客様自身が膨らませるようにしたいと考えたのです。 そこで生まれたコンセプトが「土のぬくもり」でした。素材を何にするか、またはそれをどう使用するか、何度も議論を重ね、土壁をミニマルにかつ大胆に使用することなりました。実際はコスト面を踏まえて左官材になりましたが、土の風合いに徹底的にこだわり、幾度となく試作を繰り返して今の壁の質感に決定しました。また、もう一つこだわったことが極力アール壁に仕上げるということでした。「自然の風合いをより自然に」という合言葉で職人さんと打ち合わせを重ね、ファサードから店内の壁や天井に至るまで、左官仕上げのアールで仕上げることで、温かさやぬくもりを表現できたと思います。このアールを作るのに左官屋さんには、やり直しも含め、こだわりにこだわり作ってもらいました。 また、天井に当て込む照明はふわっと優しくなめるように仕上げたかったため、ライティングデザイナーとスポットライトの角度や当てる位置を含め密に打ち合わせをしました。話し合いによって、壁から天井へ当て込む方が美しいということになり、壁づけのスポットライトを選択。次はそのスポットライトをどう隠すかの議論で、鳥の巣というアイデアが生まれました。つばめなどが巣を作り、それを人が大切に見守っている優しい光景をたまに目にしますが、ここも同じく鳥が巣をつくろう優しい場所というコンセプトでデザインしています。結果、土の質感とアールの曲線が照明に照らされて優しい光だまりを生み出し、難波のど真ん中とは思えない優しい建物、場所になっています。

物件所在地

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