木場の家

ビルディングタイプ
共同住宅・集合住宅・寮

DATA

CREDIT

  • 設計
    古谷野工務店
  • 担当者
    古谷野裕一
  • 施工
    古谷野工務店
  • 撮影
    西川公朗
  • 共同設計
    古寺浩実

湾岸エリアに立地するマンションのリノベーション。周辺にはスケールの大きな建築群と空地、広い通りや運河があり、自然とゆとりがある雰囲気の環境です。セキュリティ内の中庭を通り、ゆったりと作られた共用部を抜け、住戸にアクセスし、住戸を通り抜けると中庭に面した住戸専用の庭へ出入りができます。街から住戸へ続く一連の体験が、このエリア特有のゆったりとしたスケールや空気感と共に住戸内へと続くよう計画しました。
 現地調査の際、仕上面の裏側に隠されていたコンクリートの躯体が丁寧に打設されており、仕上げに耐えられるテクスチャーであることが確認できたため、既存のコンクリートの壁や梁型の存在を計画に活かすことを決定しました。

 計画では、住戸を貫通するように玄関からリビングへと抜けるゆったりとした廊下を設けました。この廊下は共用廊下に近いスケール感を持たせ、共有部と住戸内をシームレスに繋げることを意図しています。また、奥行きの深い住戸の造りに対して、独特な杢目を持つ突板の壁をコンクリートの小梁に添わせる形で配置し、住戸を長手方向に貫通する要素を配置しました。
ゆったりとした廊下は、洗面や書斎などの機能を兼ねると共に、光や風を住戸全体に導く役割も持ちます。また、表の動線とは別に、キッチン・洗濯室・クローク・主寝室へと続く裏動線を確保し、広い住戸での生活の利便性を高めています。

 内装には、コンクリートの躯体に加え、マンゴーやプラタナスの突板、ブラッシングされたフローリング、大判タイル、大谷石など、外部的なニュアンスのある素材を組み合わせました。これらの多様なエレメントとゆったりとしたスケール感により、一住戸の完結したインテリアにとどまらず、周辺の環境と一続きとなる住空間を計画しました。

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