
PROJECT MEMBER
近隣商業地域の限られた敷地内での、寺院と認定こども園の建替計画である。 建替前は、築50年の建物に増改築が行われ、保育室の日当たりは余り良くなかった。一方、こども園がお寺に隣接しているため、こども達が仏像に手を合わせる等、子供達が日常的にお寺と馴染んでいる姿が印象的であった。住職と園長を兼務する施主からは、両建物から多目的ホールへの動線の確保が求められた。 そこで、敷地奥の北側にこども園、南側に寺院、中央に園庭を配し、両施設全部屋南向きの良好な居住空間を確保。こども園の全ての保育室には、園庭側に開放的なバルコニーを設け、中庭と繋がるよう計画。また、こども園の3階に多目的ホールを設置し、両棟を園庭3階レベルでブリッジでつないだ。園庭の日当たり、視線の抜けを確保しつつ、両棟のアクセスをつくった。 さらに、南側寺院部分に、道路から中庭に抜ける2層吹抜ピロティを設け、中庭に開放感と広がりを与えた。 ピロティに面して檀家さんが集まる和室を配置し、外に向かって座れる縁側を計画。こども達と檀家さんの接点をつくり、ピロティを中間領域として、お寺を介してこども園が街、外と繋がることを意図した。 市街地において、こども達のセキュリティ・プライバシーを重視すると閉じたつくりになる。 本計画は、従前のお寺とこども園の関係から、お寺がこども達を守りつつ、同時に街に開く役目を担う計画とした。 こどもたちがお寺を介して街につながっていき、 六甲山を背に架かるガラスのブリッジが、園・寺院、さらには地域のシンボルとなることを望む。