




補足資料







災害に呼応するようにつくられた街並み 能登半島の付け根に位置し東側に富山湾を臨む水産資源に恵まれた土地、氷見市。この地域は過去2度の大火によって大きな更新を求められた歴史があり、防火帯建築が並ぶ商店街や建築制限令による黒瓦の街並みなどは、災害と土地の特徴に応えるかたちでつくられた。罹災を免れ都市計画による開発からも外れた地域には古い建物や細い路地が残り、新しい街並みの奥で鳴りを潜めている。計画地はかつて漁師町として仕舞屋が軒を連ねた土地。罹災を免れ、当時の建物と路地が残るその場所は建築基準法の条件を満たさず再建築不可の土地となっていた。その場所を建築可能な土地へと編集し事務所を兼ねた建主の新居を計画する。 住宅をシェアしているととらえること 計画地は建主のもち家が建つ敷地のさらに奥にある敷地。古い長屋が建ち並ぶ地区の一角にあり、接道条件を満たさない再建築不可の土地であった。本計画は、建主がもつ複数の土地を文筆・合筆をして建築可能な土地へと編集し、そこに仕事場を兼ねた住宅を建築するものである。 夫婦と子供ふたりが住む家だが、ゆくゆくは子供たちが家を出て行きふたつの部屋が空くことから、それらの部屋を誰かに使ってもらいたいという思いがあった。私たちが考えたことは「住宅をシェアしているととらえる」こと。家族だろうが他人だろうが、その建物のひと部屋を借りているととらえることで住み手の入れ替わりを受け入れられる。今回の設計では、住み手と使われ方の変化に対応できるシェア型の住宅をつくることが求められると考えた。 住宅部分はシェアハウスへ、仕事場の部分は地域住民が使えるミニ図書室やポップアップショップなどへと変化していくことを想定。建物用途を変更するとなった時に建築工事や設備の増設を必要としないよう、住宅を新築する時点で法検討を行い設計に反映させた。実際に、2024年元日に起きた能登半島地震の後にこの住宅が竣工し、事務所併用住宅として計画していた新築部分は建主の意向により寄宿舎へと用途を変更。被災者向けのシェアハウスとして貸し出しを開始した。 構造は一般的な木造在来工法だが、外断熱工法を採用し木構造を内部に露出させている。そうすることで、使い手が自ら棚を取り付けたり、壁や建具を追加または減らしたりと自由に発想し編集することが容易になり、人びとが活動する豊かな土壌を築いていくことを期待した。筋交い部分や配線を隠蔽した部分など設計者目線で触れてほしくないところは、編集不可の部分として大壁でつくり、グレーの塗料を施している。木の地色とグレーの塗り分けによって使い手による自由な編集の中に秩序をつくりつつ、木の温かみを残した。この場所は住宅敷地の用途にとどまらず、移住者の活動拠点や地域交流の場として機能し、使い手と地域の移ろいに応答するようにかたちを変えていく。

