
PROJECT MEMBER
大阪の箕面駅から徒歩圏内のハウスメーカーによるひな壇造成を行った住宅の建替え計画である。 敷地の北側は開発当時に作られた大きな既存擁壁がそびえ立ち、奥には池田市と箕面市を東西に繋ぐ府道が通っている。南側は駅へ向かう通り道となっており、人通りも多い。 敷地周辺を分析すると、大規模な開発によって、同じ住戸プランが連続している。道路レベルでは箱型擁壁の駐車場があり、擁壁上に住宅を建て、一階はLDK、二階は個室であるような住戸の建ち方の住戸が並んでいる。 住戸同士は道路勾配による高さの差はあるものの、生活シーンは同じ高さレベルで展開されていることがわかった。 また敷地では北側斜線をクリアしつつ、二階の階高設定をぎりぎりまで上げることで梅田から天王寺まで一望できるような眺望を確保することができることを発見した。 本計画では一階に個室を配置し、二階をリビングとすることで、敷地周囲との生活シーンを逆にすることで、周囲の喧騒とは物理的に距離を取りつつ、眺望のよい環境をリビングとすることで豊かな住環境を確保した。 まるで地中の中で、暮らすような落ち着いた一階での暮らしと、開放的な空間で眺望と共に過ごす二階での暮らしという対極的な暮らしを、中間を結ぶ階段がゆるやかに繋ぎ、二つの空間を調停する。 また建物外壁を外側に傾斜させることで、軒下空間を作り出し、下部を駐車場とし、室内空間は外に広がる形状なので、気積が増え、広さをより感じられる空間としている。二階レベルでは傾斜した外壁がそのまま手摺となり、道路勾配に合わせた高さを変化させることで、着座したときのリビングからの眺望に配慮した形状としている。また壁が傾斜することで、アウトドアリビングの広さを確保することもでき、二階の住空間を最大化した。 屋根形状は北側斜線制限に厳しい面を低く、眺望の良い方向に開く形状にすることで、空間に抑揚を持たせ、オープンエンドな空間を形成した。 敷地周辺環境、建物のプログラムから建築のジオメトリーを最適化し、敷地を使い倒すこと。それは元来持ちえる敷地の価値を最大限高めるために、建築を作ることで敷地を再評価した。それは街中で孤立する際立った色物建築ではなく、この環境において、本来こうあるべきという姿をポーズした建築となったのではないかと考える。