
東京駅前の八重洲ミッドタウン内にある約1,300平米の大きなワンフロアの内装計画。クライアントは100年以上の歴史をもつ三井化学株式会社。社員同士でも互いにどのような事業やプロダクトが社内で開発されているのかうまく共有できていない状態であった。それを束ねる社員が自分の担当以外の幅広い事業や製品・技術にも精通することで、連携を強化して事業創出と拡大につなげられる、一体感を生みだせるような共創の空間が求められた。 様々な人々やアイデアが集まるための多様な場所が与件として求められたが、それをそのまま並べてもバラバラな空間の寄せ集めにしかならず、同じ場所に集まる意味がない。多様でありながら、一体感がある空間はどのようなものかということがテーマとなった。 そこで、皆で共有できる一つの象徴的な風景をつくろうと考えた。1本の浮遊する帯を、全体の意識を統合する媒体として位置づけている。白い帯が、フロア内を有機的に巡り、多様な空間を緩やかに区切りながら、キッチンカウンターになり、デスクになり、ベンチになり、イベントステージになって、人々の活動を誘発する装置となる。 一つの大きな川がその周りに多様な文化を育みながらも、ある共通の景観や物語を紡ぐことができるように、一つの大きな風景をインテリア空間に持ち込むことで、分断された空間がその個性を保ちながらも、緩やかに統合されたような状態をつくれないかと考えた。