PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 458.65㎡
- 竣工
- 2024-07
CREDIT
- 撮影
- 中山保寛
- 設計
- 黒川智之建築設計事務所
- 担当者
- 黒川智之 / 田代日出郎 / 山根雄高
- 施工
- 山菱工務店
- 構造設計
- オーノJAPAN
- 内装設計
- 黒川智之建築設計事務所 / TENHACHI
- 設備設計
- EOS Plus / 川村設備研究所
国立に建つ6戸の長屋形式のコーポラティブハウス。 敷地周辺は、大正時代に開発された高級住宅地で、一つ一つの土地の区画が大きく建蔽率も低いため、まとまった大きさの庭が多く点在する。 こうした庭の存在は、街の豊かさに寄与しているが、区画の維持の難しさから一部では戸建て開発が進み、その豊かさも次第に失われつつある。 住宅地に建つ集合住宅は、その存在感・関係性の希薄さからネガティブに語られることが多いが、今回のような敷地においては、多世帯で共同出資することで大きな土地の区画と豊かな外部環境を維持することが可能となり、集まって住むことに積極的な意味を見出すことができる。 さらには、コーポラティブハウスという選択を採ることで、庭の在り方について、入居者と共に具体的な議論を行えるため、庭を「生きた場」として実現することが可能となる。 本企画は、入居者の確定に先行して募集用の設計案を必要としていた。設計の考えの中心に庭を据え、住戸と庭とが互いに定義しあう関係をつくりたいと考え、募集段階では建築や庭の在り方を固定化しないよう、補助線のように作用するルールを定めることとした。 まずは6住戸に囲まれた共用庭、襞状の外形が隣地側に生む専用庭、2階の専用テラス、屋上のルーフガーデンの4つの「庭」を用意し、この4つの庭が、生活空間を介して水平的・垂直的に結ばれ、更には隣接する敷地がもつ大きな庭に接続するという方針を立てた。 プランは住戸同士が立体的に絡み合うクロスメゾネットを多く採用し、敷地内外の様々な外部環境からどの環境と接続するか、どういった関係を結ぶかにより住戸毎の個性が発揮されるようにしている。 各住戸が屋上に持つルーフガーデンには、フェンスの種類・立ち上がりの高さの違いによって、オープンな場からクローズドな場まで多様な居場所をつくる。今後、屋上には緑が添えられ、敷地の外からも共有される「庭」として育まれていくだろう。 「庭」を敷地内外にわたり共有できる対象と捉え、庭と生活とが一体となった住まい方の実現を目指した。その結果として、環境を紡いで街を豊かにする「集合のかたち」が生まれるのではないかと考えている。