町田邸

ビルディングタイプ
戸建住宅

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    TYRANT
  • 担当者
    松葉邦彦
  • 施工
    有限会社安松託建
  • 構造設計
    寺戸巽海構造計画工房
  • 撮影
    広川智基

群馬県を代表する温泉地の一つである四万温泉を流れるひなたみ川沿いの自然に環境に囲まれた傾斜地に建てられた個人住宅です。ひなたみ川と公園に挟まれた敷地の形状に従い、細長い平面を持つ平屋の木造住宅を計画しました。 背後の斜面から四万川に向かって地中を流れる豊富な地下水により、敷地は常に湿度の高い状態でした。傾斜地であることも考慮すると決して居住に適している環境とは言えません。そこで、斜面の上に四方向にはね出したコンクリートスラブを乗せた高さ2mの基礎を造り、その上に23.6m×4.6mの平面を持つ建物を計画しました。斜面から適当な距離をとることで、湿気との縁を切り快適な居住空間を実現させています。 建物の外形は細長い切妻型で、杉板下見板張りの外壁の上にガルバリウム縦ハゼ葺で仕上げた軒を持つ切妻屋根を乗せています。建物を地盤面から浮かし、かつ軒を出すことで冬季の積雪から建物を守ります。 平面プランは細長い廊下に沿って諸室を並列させていくという非常にシンプルな構成になっています。内部の天井は四万川側半分を内壁同様に仕上げる一方で、公園側は木造の架構を現しとして空間のアクセントとしています。廊下の一番奥に配置したリビング・ダイニンの川側のコーナーには、はめ殺しの窓を設置し朝陽に照らされた豊かな自然を望むことが出来るようにしています。 この建物は2mの高さの基礎を持つ高床式でありつつも、既存の斜面の形状に合わせるためにその周囲は既存の斜面に合わせて盛り土をしています。その結果、四万川側の斜面にはね出しているように見える一方で、公園側は地盤面から少しだけ浮いたような印象を持つ建物になっています。 一般的な外形を持つ建物でありつつも地面から浮かせることで、周辺環境から突出するのでもなく、ただ馴染むだけでもないあり方を実現しています。動的であり静的で、かつ既視感と未視感の両方の性格を持つ曖昧な建物のあり方を探ってみました。