
PROJECT MEMBER
宮崎市郊外に計画されたヴィラである。敷地は、西側道路、南側に平屋の食品工場、北側に住宅、そして東側は市の防風林に囲まれた、海にほど近い環境である。 まず空間構成として、リビング・ダイニングのパブリックゾーンと、個室・水廻りのプライベートゾーンを、オセロのように対角線上に配置した。その結果もう一つの対角線上にボイドが生まれる。本設計は、そのボイドを建築にとりこむことで内部空間がより豊かに拡張する在り様をデザインした。 リビングから繋がる南東のボイドは、建築による影のつくり方、外部環境の切取り方について操作を行った。まず、上部に格子状の梁を設けることでグリッドの影をつくった。その影によってより光を認識するようになり、時間とともに変化していく光と影が建築に映し出される。同時に梁間隔・梁せいを夏の太陽光を基準に決定し、強い日差しが室内に差し込まないよう計画している。また、ボイド1階部分の壁を2辺切取ることで、プールがボイドから外部環境へ跳ね出し、植栽はボイド内部にとりこまれ、内部空間の更なる拡張を可能にした。2階部分の壁は、海沿い、台風時の強い風雨から内部大開口を守る役割もはたしている。 もう一つのボイドは、1階を駐車場、2階をリビング吹抜けから繋がるセカンドリビングのようなルーフバルコニーとした。ここは、北側の優しい光を取入れ、風の通り抜けの役割を持ち、強い西日は、正面のスチールで組んだ縦格子によって室内への侵入がない計画としている。 人は内部空間の拡張により、外部(自然)をより近くに感じるようになり、内外の曖昧な関係性が、他にない居心地の良さを与えている。
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