
PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 3113.48㎡
- 竣工
- 2024-08
CREDIT
- 撮影
- 下川 高広
- 設計
- 村田相互・UID設計共同体
- 担当者
- 前田 圭介
- 施工
- 大之木・占部県営引野住宅Aブロック(仮称)1期新築工事特定建設工事共同企業体
- 構造設計
- 村田相互・UID設計共同体
- 駐輪場構造設計
- 萬田隆構造設計事務所
2019年に始まった団地内コミュニティの形成を目指した県営住宅団地の計画。 COVID-19によって人が密になることが懸念されるなか、集まって住まう意味を改めて問い直したいと考えさせられたプロジェクトである。 敷地は郊外にある見晴らしの良い高台に位置し緑豊かな木々に囲まれていた。周辺を歩くと木漏れ日や葉擦れの音、木々の間から望める市街地の眺望など魅力的な環境であると感じられた。一方では戦後に建てられた既存団地は南北方向に並列配置されているがゆえ、この豊かな環境を十分に享受できず、住棟毎に住民の活動領域がなんとなく規定され、視覚的にも人の気配を感じにくい状況を生みだしていた。 そこでピロティを基軸に全体計画を考え、この豊かな環境を享受できる一体的な公園のような団地とすることを目指した。 具体的には各住棟をハの字型に配置することで、十分な隣棟間隔・採光・風通し・眺望・プライバシーを確保している。また、各住戸に設計した三角平面のテラスによりゆったりとした半外部空間をつくり、各住戸の隔壁デザインが画一的になりやすい積層型住居建築のファサードを立体的にした。さらに、Ⅲ期10年という長い時間を掛け建て替えを行っていくため設計段階からコミュニティデザイナーを交え団地の住民たちとのワークショップを重ねた。そして、これから生まれ変わる団地の在り方、集会所・周辺のウォーキングコースや広場など多様な居場所の使い方、また長きに渡る工事の中で住民たちが変化していく状況を見守りながら新たな生活が楽しめる意識付けの機会を設けた。 したがって、公園のような団地は住民同士の交流を促し本計画のテーマである“団地内コミュニティの活性化”に寄与することができる。 建築とランドスケープを一体的に捉えた環境は多様な人と人とのつながりを生み豊かな住まいとしての21世紀型の公営住宅になることを期待した。