KIGOCOCHI

ビルディングタイプ
共同住宅・集合住宅・寮

DATA

CREDIT

  • 撮影
    見学友宙
  • 設計
    トラフ建築設計事務所
  • 施工
    岡部工務店
  • 照明計画
    BRANCH LIGHTING DESIGN
  • スタイリング
    中田由美
  • 企画
    三菱地所ホーム

「木」の可能性を見出すことにより、住まいの居心地の良さを追求した三菱地所ホームのためのマンション木質リフォームプランの提案。実際に横浜にある70㎡の既存マンションモデルルームを敷地とし、リフォームプランを実現した。 <KIGOCOCHI(キゴコチ)>は「KI=木」から得られる「IGOCOCHI=居心地」を追及することから名づけられた。木には、現代に暮らす人間が忘れかけてしまった感覚を呼び覚ます魅力がある。<KIGOCOCHI>は、人間が木に囲まれたり、大木に寄りかかったりするときに得られる居心地の良さを再現することで、たとえ都市部で暮らしていても「五感」で木を感じ、「木と寄り添う暮らし」を提案する。 従来、木は「図」と「地」でいう「地」の部分として表層的に扱われてきたが、その構成を反転し、「図」にあたる部分を暮らしの機能をつめこんだ木の塊(コア)として設計した。コアで空間を分節することで、間仕切り壁を設けることなく、ベッドルーム、玄関、キッズルーム、キッチン、書斎、水回り、リビング・ダイニング等がゆるやかに共存する空間となる。 「玄関・寝室のコア」は、木のトンネル状の玄関、小上がりになった寝室を内包する。「水回りのコア」はユニットバスやサウナといった水回りが集まったコアで、脱衣所の床は素足が触れて気持ち良い名栗加工の木材を施した。また、コアの外側にはアルコーブの中にソファベンチを設けることで「木の洞穴」に籠るような心地よさを再現した。「キッチン・家事・スタディスペースのコア」は3方向からアクセスできる家事スペースのコアとなっている。あたかも樹木から伸びる枝木のようにコアから庇が伸び、その真下にダイニングスペースを配置した。庇の中は空調ステム(エアロテック)を内包する設備スペースにもなっている。 コアは3x6判の国産ヒノキ合板を経済的に割り付けられている。合板の動きを考慮して確保された約4mm の奥目地で施工性にも優れたミニマルなディティールとした。コアの開き戸は外側に枠を設けないことで壁面と一体化し、より量塊感を表現した。また、触り心地のよい木のドアノブや壁面を棚やフックで自由に編集できるカスタマイズウォールなど、随所に施した仕掛けで暮らしを豊かにしている。 木のコア以外のマテリアルとして、床には自然由来のリノリウム、壁および天井は調湿効果をもつしっくい塗料を用い、木がより引き立つように、落ち着いた中間色のものを採用した。 木は使い込むほどに美しさを深めていく。10年後、20年後と、徐々にその表情が変わり、時を経るごとに愛着を持てるような空間を目指した。

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