
PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- その他オフィス・企業施設
- 工事種別
- リノベーション
- 延べ床面積
- 764㎡
- 竣工
- 2024-04
CREDIT
- 撮影
- 見学友宙
- 設計
- トラフ建築設計事務所
- 施工
- D.BRAIN
- 照明計画
- BRANCH LIGHTING DESIGN
- 植栽計画
- TSUBAKI
- 什器製作
- カリモク家具
- 魚梁瀬杉提供
- KIDZUKI
- 藍染
- BUAISOU
- 木製執務テーブルデザイン
- 熊野亘
- インテリアスタイリング
- 竹内優介
- アート
- BF ハタノワタル, 1F TSUBAKI ・BUAISOU, 2F 石山和広・横山裕一
バンクーバーに本社をもつカナダのアウトドアブランド、アークテリクスの北米以外で初となる新たなクリエイション拠点、Tokyo Creation Centerの内外装計画。目黒青葉台の小高い立地にある地下1階、地上2階建てのRC造の建物をリノベーションした。日本国内だけでなく本社や海外からデザイナーが集まり、実際にプロダクトを使用するアスリートなどとのコミュニケーションを取りながら、デザイン、開発およびプロトタイプ製作を行える施設となることから、ローカルの特性を取り入れ、刺激を与え合うことのできる空間づくりが求められた。 そこで、様々な次元で内外のつながりを促すため、“OUTSIDE IN”をデザインコンセプトとして計画した。1階はプロトタイプ製作のためのソーイングエリアと執務エリア、2階はデザイナーのためのオフィス、地下1階は多目的コミュニティスペースと生地を裁断するワークショップや倉庫、眺望の良い屋上はアスリートやゲストが集うスペースとした。 ブランドの頭文字の“A”になぞらえて藍染めした板を斜め貼りした自動扉のエントランスを抜けると、吹き抜けに面した壁一面のヒノキのディスプレイ棚が出迎える。この棚にはブランドのアーカイブと共に日本および東京の文化や卓越した技術や手仕事、美意識を伝える品々を飾り、この施設の象徴とした。中央のソーイングマシンが並ぶ製作エリアは、扇形のカッティングテーブルを円形に配置することで、吸音効果のあるヒノキのルーバー天井とともに求心性を持たせた。フロアの奥には、日本の山の景色の一部を切り取ったような中庭を望むように執務エリアを配置した。 世界中のデザイナーが集まる2階のオフィスは、大きなカッティングテーブルを挟んでデスクを配置し、個人作業と協同作業をシームレスに切り替えることができる。1階から続く壁一面のディスプレイウォールと、共通のルーバー天井が上下階の連帯感を強調する。 地下1階のイベントスペースは3連の引き戸で全開放でき、内外を使ったイベントにも対応する。ガラスで仕切られたワークショップスペースの背景には素材や工具が整然と並び、作業効率も考慮した光幕天井がギャラリーのように演出する。また、1階につながる階段室の天井を光幕として、上下階をシームレスに接続できるよう意識して計画した。 外階段でつながる屋上には、大小のテラスに異なる性格の居場所をつくった。高知県馬路村で長年保管されていた魚梁杉(ヤナセスギ)の12個の切り株を連ねたベンチは、夕方になると間接照明によってリング状に浮かび上がり、優れた眺望をたのしめる特別な場所となる。 外と直接つながってあらゆるものを引き込み、製品開発にあたって自然やデザイナーとの対話を大切にするアークテリクスにとって、開かれた空間になることを目指した。 ※アートについて 今回のプロジェクトでは、ブランド発祥となった原点を感じさせる試みとして、「山」をテーマとしたアートを点在させた。 地下1階 会議室/ハタノワタル;和紙をベースとした作品、土と墨で描かれた「山」の文字が山並みを連想させる。 1階執務席横/BUAISOU:藍染の作品は、クライミングロープの様々な結び目を表現しながら、ロープのうねりが山のようでもあり、アークテリクスのロゴである始祖鳥の形が隠されている。 1階中庭/TSUBAKI:日本の山の小さな自然の営みをオマージュし、日本に自生する草木を岩に植えた作品。 2階ラウンジスペース/石山和広 :ヒマラヤの一角にある山を被写体とし、膨大な数の写真をもとに昼と夜の時間帯が一枚に表現された平面作品。 2階会議室/横山裕一:著書「ネオ万葉」から、富士山を詠んだ歌をモチーフとした作品を壁一面に拡大した。