




補足資料

PROJECT MEMBER
厳選された宮城の材を生かし、舞台のようなカウンターで鮨を握る メインとなるL字のカウンターには、宮城県南部で育ったカヤの一枚板を使いました。その背後の棚には、宮城県北部で採れた、野趣ある曲がりをそのまま生かしたケヤキを使っています。さらに、「地元の土で土壁をつくりたい」と左官職人に相談し、試行錯誤を重ねながら、この場所ならではの壁をつくりました。 宮城で育った木や土、それぞれが持つ表情をできるだけそのまま生かすため、空間そのものはシンプルに、必要以上につくり込まないことを大切にしました。素材そのものが、この店の表情になるような空間を目指しています。 アプローチの漆喰壁など、自分たちでできるところは、想いを込めながら自らの手で仕上げました。限られた条件の中で背伸びをするのではなく、今できることを一つひとつ丁寧に積み重ねています。 そして、この店は完成した時が終わりではありません。あえて余白を残し、鮨職人としての成長とともに、内装や設えにも少しずつ手を加えていけるようにしています。時間を重ねながら、店と職人が一緒に育っていく。そんな空間を目指しました。 修業時代から大切にしてきたのが、「畳に足袋」というスタイルです。水や食材をひとかけらもこぼさず、畳を汚さない。その所作の根底には、「カウンターは職人の舞台である」という考えがあります。 その舞台を客席からさまざまな角度で楽しめるよう、客席は8席のL字カウンターとしました。また、板場の床の高さを調整することで、椅子に座る客と、立って鮨を握る職人の視線が自然に近づくようにしています。 カウンターと板場をひとつの「舞台」と考え、客席側の照明はあえて抑えました。少し暗い客席から、カウンターに立つ職人の手元や一つひとつの所作が浮かび上がります。 鮨を味わうだけではなく、職人が鮨を握る姿や、その静かな緊張感までを楽しむ。宮城の木や土に囲まれた小さな空間の中で、料理と職人の所作そのものが主役となる店をつくりました。

