




亜熱帯の森のSPA「森の温浴」 ホーチミンから東に100km弱離れたビンチャウという村にあるリゾートホテルが本プロジェクトの敷地に当たる。 ここには、ベトナムでも数少ない貴重な温泉の源泉があり、この温泉をより活かした集客力がある施設に更新することが命題とされた。 いわゆる設計要求がなかったため、まずは、企画段階からプロジェクトを開始した。我々は敷地の一部である北西部の既存ホテルエリアに対して、部分的に新たな施設やリノベーションを行うことで、企画のメインである北東部の温泉テーマパークである「温泉エリア」(※リンク参照https://mag.tecture.jp/project/20241023-minera-hot-springs-binh-chau/)のサポート施設として相互の関係を強化することを提案し、設計するにいたった。 今回はその「ホテルエリア」内で新設したdara springs poolを紹介する。 ここは「ホテルエリア」の宿泊客が専用で利用する屋外の温浴施設で、レセプション・更衣室(水着に着替えて利用)・BAR・SPA Poolの機能を持つ。 敷地内外には多くの樹木があり、森林浴だけでなく同時に森の中での温浴ができる新たな環境づくりを目指す。 設計するにあたり、既存の樹木を最大限利用するため、ランドスケープデザイナーと一緒にGPSを用いて高木の位置をデータにプロットしていくことから始めた。既存の高木を保存できる配置とし、同時に建築内にいても樹木に囲まれていることをダイレクトに感じられること、つまり、森に溶け込む建築であることを命題とした。 男女の各更衣室とレセプション+BARの3つのブロックに分け、視覚的な抜けとなることを目論み、それぞれ3.6mと3.0mの間隔を空けて既存樹木が少ない北東側に配置している。 壁は更衣室のプライバシーを担保するのに必要最低限な高さ2.2~2.4mとし、屋根は鉄骨丸柱により壁から切り離すように持ち上げることで壁と屋根の間に空隙をつくり、内部からは外の森を感じ、外部からは視線の抜けを持つ。 夜には壁面と柱の上部に設置したアッパーライトにより、各々の高さや勾配の向きを変えた屋根(天井)を照らすことで、軽やかに森を舞う蝶や鳥のようなイメージを想起させる建築となっている。 ランドスケープでは、建築の考え方に合わせて既存の樹木をかわしながら大小のSPA Poolや四阿を配置している。 樹木へのアッパーライトは高木の枝葉を美しく照らし、さらに水面への映り込みをつくり出し、森とSPA Poolが呼応した新しい風景を生成している。 昼夜問わずBARでお酒を楽しみながら、ここにしかない森と温泉を五感で感じられる「森の温浴」になったのではと思う。
