Ten house

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    矢野紀行
  • 設計
    仲間郁代建築設計事務所
  • 担当者
    仲間郁代
  • 施工
    株式会社仲本工業
  • 構造設計
    U+建築設計事務所 上原正則
  • インテリアデザイン
    NEWOLD 大磯祐子

沖縄本島に建つ本邸宅は、住宅の建て替えという条件のもと、事業家である施主とご親族が「ホストもゲストも穏やかに楽しめる家」を望んだことから始まった。 その際、長年大切にされてきた既存の庭を“敷地に刻まれた時間”として継承し、そこから建築の方向性が決定された。 既存の庭の景観と風の通り道を読み込み、新たに配置した石庭・デッキテラス・屋上テラスを立体的に重ねることで、都市の中で内部と外部が緩やかに連続する空間を構成した。 既存の中庭は、沖縄古民家における“前庭”のように、訪れる人を直接あたたかく迎え入れる場として位置づけている。 深い軒が強い日射を和らげ、植栽の影がつくる揺らぎや通風が、人工的な冷房だけに頼らない“自然の涼”をもたらす。邸宅内に点在する開口部は、風が抜ける方向を読むように設えられ、移動とともに光の濃淡や温度の変化が感じられる。 私たちは、永続的な美しさとは、本来そこにあった自然の秩序を、建築が静かに受け止めることで生まれると考えている。 その思想に基づき、形態・動線・素材選択はすべて「庭と自然への開き方」と「エネルギー負荷を最小限に抑えること」の両立から導かれた。 陰影の美しい自然素材、適度に熱を逃す壁構成、風を拾う配置計画など、ひとつひとつがパッシブな環境性能と建築体験を同時に成立させている。 ホストとゲストが時間を分け合うこの家では、もてなしのあり方そのものが建築のテーマである。かつて沖縄は庭を通して大事な客人をもてなしてきた歴史を持つ。客人を迎えるとき、試されるのは席主の美意識、自然への向き合い方でもある。中庭に足を踏み入れた瞬間に感じるやわらかな光と風は、沖縄古民家が大切にしてきた“迎え入れる心”を現代に継ぐものであり、本邸宅のもてなしの原点でもある。 自然と共に暮らし、未来へ継承される心地よさを宿す邸宅であることを願っている。

TAGS

5
5