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1587年創始の博多織最古の織元の大改修 「最古であり、先端であること」 これは、西村織物6代目当主の言葉です。クライアントは、1587年創始の博多織最古の織元。 従来の呉服領域を超え、アートやインテリアなど織物の可能性に挑戦しています。その魅力を発信し、“織と人が交わる場を作りたい”、という想いからこの計画は始まりました。 当初、工房とは別棟を改修するという要望でしたが、全長45mの工房と織機で30人以上の職人が織物を作る光景は、彼らのモノづくりの根幹を伝える大きな価値を持っていると感じました。この価値を伝えられるように、工房の一角を改修し、「ショールーム+オープンファクトリー」とする提案をしました。 主なKA提案 ① 手織り機の昇華 かつて使われていた手織り機を活用。大きな展示テーブルとして生まれ変わりました。 細かい傷や歪みなどの歴史の痕跡を残しながら現代的なガラスと合わせた、このプロジェクトを象徴するアイコンです。 ②工房をフレーミングする エントランスホールからは木建具の連続窓によって工房全体が水平にフレーミングされます。 働く職人ひとりひとり、動く織機のひとつひとつが洗練されたアートのようにも見えます。 新旧のコントラストが、フレーミング効果とこの工房の良さを引き立てています。 ② 織を引き立てる色・什器 織物とサンプル比較を何度も重ね、絹を一番引き立てるグレーを選びました。また、什器は既存と影で縁を切ることで一層抽象性をもたせています。 ④オリジナル家具 西村織物のマテリアルを用いて3つの新たな家具プロダクトを開発しました。TANソファ、TANランプ、糸巻きスツールです。特にTANソファは反物を約5倍にした形状で、座ることもできるし、触って博多織の質感の良さを存分に感じられるプロダクトとなっています。 437年もの間技術を紡いできた工房と、先端で織物の可能性を目指す新旧のコントラストを表現することで、「創造的保存」改修を行いました。