白雪の家 / snow white

ビルディングタイプ
戸建住宅
1
294
日本 青森県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    西川公朗
  • 施工
    長谷川工務店

都市を隔て自然を取り込む 青森市の中心部にある住宅。古い住宅が並ぶ地区でありながら、すぐそばに見下ろすように大きなマンションが建っていたり新たな都市施設建設の計画があったり、今後大幅な環境の変化や交通量の増加も想定される地区の最前線となる場所でもある。 少しいびつなかたちをした敷地は130m2強と小さく、プライバシーを守るための塀は早々に断念した。その代わりに建物の輪郭を敷地外周に合わせるようにしてスペースをつくり、少し南寄りの位置に光庭を設けて光とプライバシーを確保することにした。 街に向く南面と東面には窓を設けず、プライベートを隔てる真っ白なガルバリウムの外壁だけが見える抽象的な外観となっている。ただ唯一、ワークスペースから並木とベイブリッジが眺められるFIX窓だけがぽっかりと壁に穴を空けている。 内部は玄関を始点として回遊性のある空間で、光庭の周囲を回りながらスキップフロアのリビングを登り寝室に至る。 光庭の限られた開口から差し込む光は天井の高いリビングを満たし、各居室に設けられた換気窓と連動して通風を促す。 外の風景が遮断された完全にプライベートな空間には、お気に入りの家具が並べられゆったりとした家族の空間が広がる。 海風で横なぐりの吹雪の日でも、光庭の中にはスピードを失った雪がひとつ、またひとつと降りてくる。 要素の少ない抽象化された空間で眺める雪は家族の空間に特別な印象を与える。 周囲の風景を遮断しても雪という美しい自然を取り込み楽しむことができるのは、北国にあるこの地域ならではのメリットであり、光庭形式は北国でこそ活きる形式なのかもしれない。

物件所在地

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