地平の家 / house of horizon

ビルディングタイプ
戸建住宅
5
476
日本 秋田県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    西川公朗
  • 施工
    ヤナギヤ

北の地平に住まう 秋田県北の中核都市・大館市の郊外に建つ、夫婦とこども4人のための平屋の住宅。 大館市は日本海側気候の多雪地域(設計上の垂直積雪量は1.5m)である。 配置計画はところどころ北側に凹凸のついた東西に長いボリュームで、冬のか細い太陽光を取り込み、効率的な通風を促すかたちである。 設計当初からの要望で大きなポイントに挙げられて いたのは、4人の子どもたちのための個室の確保と、水回りを含む家事動線の機能的な配置であった。 この住宅では性格の異なる2種類のサンルームを設けている。 これまでと同様に掃き出しのガラス建具による露出の度合いの大きいサンルームと、腰まで土で埋め露出の度合いを抑えたサンルーム。 露出の大きいサンルームは寒さの厳しい北国にあっても開放的な空間をつくりだす。 冬には低温域となる緩衝空間が、光と風景を(守られた高温域の)生活空間に招き入れる。 一方、腰まで土に埋めたサンルームはそこまで室温が下がらない中温域の空間である。 ある時は開け、ある時は閉じ、適度な温度と開放性を備えた空間は動線や物干し場など生活のための場所として積極的に機能する。 寒さを遠ざける緩衝空間にはこれまで「高温と低温」というふたつの概念しかなかった。 そこに「中温」という概念を追加することで、住まい手はもっと柔軟に空間を駆使して生活することができる。 もとより北国の人は気候や身の回りの環境に対して繊細な感覚を備えている。 雪が降るのか、どれくらい降るのか、風はどうか、気温はどうか。 そんな環境の微妙な変化に自らの所作を適応させて生きてきた。 住まい手の繊細な感覚をそのまま写したような空間。 環境を感じ、選び、微調整しながら生活する。 その生活のありようこそが北国の住空間における美しさであると考えている。

物件所在地

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