Grove Strolling Corridor

ビルディングタイプ
戸建住宅
アワードバッジ

補足資料

既存写真
ダイアグラム
平面図1F
図面
平面図2F
図面
丸太の向き
ダイアグラム
ダイアグラム
ダイアグラム
建て方
その他

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Koji Fuji(TOREL)
  • 設計
    株式会社 and to 建築設計事務所 / 谷口幸平
  • 担当者
    谷口幸平 / 河野裕太 / 山口波大
  • 施工
    北野建設株式会社
  • 構造設計
    井上健一構造設計事務所 / 井上健一
  • 設備設計
    ZO設計室 / 布施安隆 / 高橋彩
  • ランドスケープデザイン
    DAISHIZEN / 齊藤太一 / 鈴木俊 / 岩森嘉亮
  • オーダー家具
    コンプレックス / 木村ユタカ / 小林くるみ

場所が育てる建築 この敷地は戦後、建主の祖父が軽井沢に居を構え暮らしてきた土地である。緑道に沿って木立がどこまでも続き、葉の合間から印象的な光が射す。30m級の高木が生い茂り、敷地中央には樹高26mのキハダが天蓋のように空を覆う。この木は、建主の幼少期から既に巨木であり、周囲を駆け回った特別な思い入れがあった。 木材業を営む家系で育った建主にとって、自身のルーツとして木を大切にしていた。建て替えに際し、木々と共に代々守られてきた周辺環境ごと次の世代へ継承する事を目指した。 既存家屋は敷地奥の母屋と、緑道側の車庫で構成されていた。配置は建て替え後も既存を踏襲し、枝葉や根を避けつつ基礎の掘削範囲も最小限に抑えた。そして、すべての樹木の位置と樹高・葉張りを測量。特にキハダは基礎に干渉しないよう根の範囲の試掘調査を行った。既存母屋の両端にあった2世帯の玄関と車庫を結ぶ通路は、木々を避けた生活動線として利用されていた。私たちは既存配置及び、代々続く生活動線をトレースし、建築化することで環境を継承することを試みた。 軽井沢では、建築を浮かせることは湿気対策として慣例的である事から、丸太柱を用いたピロティとして木立の佇まいを纏った。湿気対策に加え、歩行者の多い緑道と生活空間に高低差を設け、互いが木々に包まれる建ち方を実現した。 ピロティの奥に位置するエントランスは、開口越しに見える2本の既存樹を基にして位置と幅を決定。階段側へ傾けた吹き抜けから射し込む光が自然と上階へ導く。 ピロティの上はキハダを内包する円環状の空間である。キハダを中心として放射状に丸太柱と登り梁を配置。大地から室内を貫通した通し丸太柱が大屋根を支える。すべての丸太は曲がり方や太さを型取り、場所ごとに指定。木が育った時間を尊重し、山に自生していた頃の方角へ向けて計画した。それは、経年変化を少なくすると共に、山に根を張っていた頃の佇まいを空間へ引き継ぎ、建築全体が木立の延長のように環境へ溶け込む事を目指した。 継承とは単なる保存ではなく、既存環境を読み解き、評価し、新たな価値へと昇華させる行為である。場所がもつ潜在的・顕在的な質と能動的に関わり合うことで、建築とこの場所にシナジーが生まれる。木立と呼応しようとする建築のあり方が、住人と緑道の心地よい関係をつくり、場所の潜在的な力を暮らしと環境へ還元する住宅を目指した。

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