
直木賞作家の今村翔吾氏が、日本全国で書店が減り続けている現状に一石を投じたいという想いから構想した、シェア型書店「ほんまる」のトータルプロデュースを佐藤可士和が担った。ネーミングからロゴ、グッズ、店舗デザインまでトータルにブランディングしている。歴史小説家である今村氏の関わりと、「本」「本を中心としたコミュニティ」のイメージから「本丸」というネーミングと「本」「円」をモチーフにしたロゴをデザイン。シェア型書店は「棚主」である法人・個人が棚をレンタルし、その集合で構成されているが、「ほんまる」ではこの集合体である書店を「小さなモール」と定義し、棚を主役に据え、ツガの無垢材にて構成することで「本丸」に相応しい高品質な空間を作り出している。個々の棚の看板として、図書館で本のダミーとして用いられる「台本板」をモチーフにしたシステムを考案。自由にデザインできるフォーマットを用意することで、棚主の個性を尊重しながら「ほんまる」としての一体感を保ち続けることができる書店となっている。棚主の募集に対しては、全国各地から個人・法人のみならず、自治体などからも申し込みがなされるなど、新しい形の書店として注目を集めている。また「ほんまる」を通じて棚主同士の交流がなされ、書店を中心としたコミュニティの形成が徐々に進行している。一号店は本の街、神保町への出店であったが、既に各地から出店のオファーが届いており、地域支援の役割も担うプロジェクトへの発展が期待されている。
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